韓国ネット大手ネイバーの株価が新年に入って10.7%下落した。米連邦準備制度理事会(FRB)の緊縮政策で世界金融市場が動揺するなか、昨年第4四半期(10~12月)の業績見通しも明るくないためだ。
だが、金融投資業界の専門家らは今年、ネイバーに注目すべきだとアドバイスしている。検索エンジンからスタートしたネイバーが、コマースやフィンテック、コンテンツへと領域を拡大したのに続き、メタバースのトップランナーとして躍り出たからだ。
また、ウェブトゥーン、ウェブ小説などのコンテンツを基盤にしたグローバル拡張も順調だ。ウェブトゥーンを映像化するプロセスでも成功を収めた。メタバース事業が具体化しているうえ、コンテンツを基盤にした海外事業の拡大にも拍車がかかっている。それゆえネイバーの株価上昇の余力は依然高いという分析が出ているのだ。
◇ポータル検索サービスからメタバースまで
ネイバーは1999年設立。ポータル検索サービスを手始めに、現在は検索、コマース、フィンテック、コンテンツ、クラウドの5つの事業を展開している。このうち検索が売上の約53%を占め、主力事業であり続けている。
ネイバーは検索プラットフォーム事業に基づいてプラットフォームを掌握し、コマースやフィンテック事業にも進出して成果を上げている。
新栄(シンヨン)証券のソ・ジョンヨン研究員は次のように分析する。
「ネイバーは取引高基準で韓国の電子商取引第1位の企業。中小事業者との共存モデルを開発し続け、ソリューション・ケア・システムを通じて成長できる事業モデルを確固たるものにしている。販売者の成功が必ずプラットフォームの成功につながることを証明した」
◇「メタバース」ゼペット利用客増加
最近、ネイバーが最も力を入れているのがメタバースだ。メタバースは仮想現実(VR)機器を活用したゲーム、アバター基盤のSNS、ゲームなど、現実世界で活動できる一方、現実には経験できないような動きもできる3次元デジタル仮想空間だ。
ネイバーは孫会社「ネイバーZ」によってメタバース事業を展開している。「ネイバーZ」が運営するのが、メタバースの代表的なプラットフォーム「ZEPETO(ゼペット)」で、顔認識や拡張現実(AR)などを使ってアバターをつくり、交流するサービスだ。最近、ソフトバンクから2200億ウォンの投資を受けた。
韓国投資証券のチョン・ホユン研究員はこう指摘する。
「ネイバーのメタバース生態系が徐々に拡張している。世界最大級アイスクリーム・パーラー・チェーン『バスキン・ロビンス』、革の高級品ブランド『MCM』、韓国のコンビニ『GS25』、韓国のコーヒーチェーン『EDIYA COFFEE』など、多様な業者がゼペットとの協力を通じ、仮想空間に自社の店舗を開設し、利用者もまた増え続けている」
ネイバーは技術子会社である「ネイバーラボス」(NAVER LABS)を通じ、現実都市を仮想空間にそのまま再現するプロジェクト「アーカイバース(ARCVERSE)」も並行して展開している。特に日本のソフトバンクとの協力を通じ、日本の主要都市の立体高精度地図を作り、これをもとに実際の都市と同じような仮想空間を構築する作業を進めている。
また、ネイバーZはゲーム開発メーカー「スーパーキャット(SUPERCAT)」と、メタバースプラットフォームの開発に向けた合弁会社「ZEP」を立ち上げている。
ハナ金融投資のユン・イェジ研究員は次のような見解を示す。
「スーパーキャット側はZEPの中でゲームを開発し、アプリマーケットでの販売を広げていく。エンターテインメント企業『HYBE』『YG』『JYP』がすべてネイバーZの主要株主に名前を連ねているので、エンタメ産業との相互作用も期待されている」
ネイバーZは最近、芸能人による「副キャラ」(普段とは異なる姿・キャラクターで行動すること)のマネジメント会社を標榜するエンターテイメント会社「PERSONA SPACE」や、ブロックチェーン会社「Haderech」に投資し、香港法人も設立した。
ユン・イェジ研究員は次のようにみる。
「米国法人に続き、香港法人を設立してグローバルでの存在感を高めている。ZEPETOのゲームコンテンツ多角化に加え、ブロックチェーンなど新しい技術への投資により、事業拡大の岐路に立っている」
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