2025 年 4月 14日 (月)
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“敵か味方か”の時代に終止符を…新リーダーに求められる包容力と対話能力 [韓国記者コラム]

4月10日、京畿道果川市の中央選挙管理委員会で第21代大統領選挙の事前投開票手続きのデモンストレーションに臨む選管職員=共同取材(c)news1

第21代韓国大統領選挙が6月3日に実施される。ユン・ソンニョル(尹錫悦)氏が大統領職を罷免されていなければ、次の大統領選は本来2027年3月の投票となっていたはずだ。今回の選挙は、任期途中で大統領が再び憲法裁判所の判断によって職を失ったという、わが国の不幸な歴史の「二度目の現実」を突きつけている。

この4カ月間、韓国社会は「ユン・ソンニョル弾劾」という巨大な渦にすべてを飲み込まれてきた。その終止符を打ったのは、憲法裁判所の8人の裁判官による全会一致の判断だ。理性的かつ常識的な判断によって、深刻な社会的混乱や暴動を回避することができた点は評価すべきだろう。

「大統領ユン・ソンニョルを罷免する」との厳粛な判決を前に、多くの国民が非常戒厳令以前の平穏な日常に戻ることを願った。

しかし、期待は裏切られた。弾劾がもたらした傷は想像以上に深く、韓国社会は弾劾賛成派と反対派に真っ二つに分断され、広場は怒号と対立の場と化した。

この間、法の支配は揺らぎ、民主主義の根幹すら危機に晒された。政治の両極化と“ファンダム(熱狂的支持層)化”はいっそう深刻になり、「敵か味方か」という思考が社会全体を覆った。

特に、ユン・ソンニョル氏が戒厳令検討の根拠とした「不正選挙説」と、その背後に中国がいるとする陰謀論は、事実関係が希薄にもかかわらず繰り返されることで「真実」として流布される“真実錯覚効果”の典型例となった。

罷免という判断が下されたあとも、それで社会の分断が解消されたとは言えない。分断と敵対感情は水面下でくすぶり続けており、同様の状況が再び訪れれば、いつでもそれが噴き出す危険性を孕んでいる。

だからこそ、6月3日の大統領選挙は極めて重要だ。

次の指導者に必要なのは、分裂した国民をつなぐ「包容力」と「対話の能力」だ。ある陣営に有利な存在ではなく、すべての国民を公平に抱え込める指導者こそが求められている。

2008年、黒人で初めて米国大統領に選出されたオバマ氏は当選演説でこう語った。

「米国は赤い州(共和党支持州)でも青い州(民主党支持州)でもなく、合衆国です」

その言葉のとおり、韓国においても「弾劾賛成派」か「反対派」かではなく、すべてが同じ“大韓民国の国民”であるというビジョンを示す大統領が必要だ。

選挙とは「最善」ではなく「次善」を選ぶものだという言葉もある。それを否定はしないが、こうも言いたい。

「よく見れば、見える」

私たち有権者は賢く、判断力がある。地域主義や政派主義、政治ファンダムに惑わされなければ、私たちは“選挙革命”を実現できる。

三たび「弾劾された大統領」を生むような暗黒の歴史を繰り返してはならない。今回の選挙は、単なる一票ではなく、国家の未来を左右する選択だ。【news1スポーツ部 ホ・ナミョン部長】

(c)news1

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