摂食障害が致命的な疾患であるにもかかわらず、ダイエットによる副作用、あるいは「若い女性」の意志不足などとみなされることが多い。しかし、専門家や当事者たちは、単なるダイエットだけの問題ではないと指摘する。
作家のパク・ジニさん(43)の場合、青少年時代に訪れたうつ病と、それに伴う消化不良が摂食障害につながった。専門家は、交友関係・家庭環境・敏感な性格なども、摂食障害の主要原因になり得ると説明する。
食障害専門心理カウンセラーのパク・ジヒョン氏は「子どもたちが対人関係を結ぶ時、体と関連した冷やかし・からかいが、トラウマとして作用し、摂食障害につながる場合がある。また愛着関係(情緒的な結びつき)や家庭問題のため摂食障害が発現する場合も多い」と指摘する。
問題は摂食障害患者が増え、年齢層も低下し続ける一方で、医療システムが不備だという点だ。
ペク・サンシク障害センター長のアン・ジュラン氏は次のように危惧する。
「摂食障害患者は1対1のケアができなければ、治療がうまくいかない。現在、韓国では、摂食障害患者は大型病院に入院しなければならない。現実的に疾患区分も十分にできていない。少ない人材で慢性疾患の患者と摂食障害の患者を一緒にケアすることは困難だ。患者が治療のために訪ねてきても、専門的な治療につながるのは難しい」
通常、摂食障害は集中治療を含めて長期間の追跡治療が必要となる。数年という時間、それに伴う費用がかかる。
だが、摂食障害のための治療専門施設は保険適用されず、費用面で患者が簡単に治療を断念する例が多い。
◇早期治療と社会的認識の転換が重要
専門家は、社会的認識の転換とともに、患者自らが摂食障害を疾患と認識し、治療するという意志が必要だと強調する。
アン・ジュラン氏は「患者に診断結果を示しても“自分は問題ない”と考える人が多い。症状と行動を認知されて初めて、“自分は病気を患っている”と認めることになる。それでも事態を軽く見たり、自ら対処可能だと思ったりする人が多い」と指摘する。
また治療のプロセスが長引くと、統制力を失って治療をあきらめたりする例も少なくない。
ただ、専門家は、摂食障害が絶対不治の病ではなく、タイムリーに、しっかり治療を受ければ、相当数は回復できるとみる。
家族の役割も忘れてはいけない。病気を受け入れ、急いで病院を訪れることが重要だ。
実際、摂食障害を疾患とは考えず、ダイエットの問題だと認識し、費用と時間を浪費する場合が多い、というのが専門家の指摘だ。
食障害専門心理カウンセラーのパク・ジヒョン氏は次のように訴える。
「摂食障害は、複合的なトラウマと愛着問題、家族問題が結びついている。だが、依然としてダイエットや食べる問題と認識されているのが残念だ。患者と社会の双方が、疾患の深刻さを認識し、治療期間を短縮することが重要だ」
(おわり)
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