スマートフォンで指一本で、世界のあらゆる情報やサービスにアクセスし、他人とコミュニケーションできるようになった。これを超えて脳とコンピューターを直接接続し、指を動かすことなくコンピューターを操作できる技術が開発されている。
脳とコンピューターを接続する研究分野を脳-コンピューターインターフェース(BCI)という。
BCI技術は、かつては文化コンテンツの中の想像の領域だったが、脳科学や脳波測定技術、信号データ処理技術の発達により、現実のものとなりつつある。
この技術は1970年代のサルをはじめ、1990年代には人間を対象にした実験が進められるなど、長い歴史がある。生物の神経活動は電気的変化として現れるため、これを利用しようというわけだ。
すでに脳波測定を通じて画面のカーソルを制御することには1991年に成功し、1998年にはBCIチップを人間に挿入し始めた。その後、単純なカーソルを動かすだけでなく、ロボット義足や腕を操作する技術も開発された。このような技術はすべて、体の不自由な人を助ける目的で研究されたものだ。
現在も多くの研究が、患者を治療する目的で臨床許可が出ている。一方で、BCIは治療・リハビリを超えたエンターテインメント、拡張知能の領域まで広げることができる。
◇移植に抵抗がある人も利用
米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)時代に備えるために、人間-機械接続技術を確保すべきだとして「ニューラリンク(Neuralink)」を創業した。これもまた、現在は脊椎損傷など麻痺患者を対象に米国食品医薬庁(FDA)の承認を受けている。
ニューラリンクは頭に装置を移植する「侵襲型」でのアプローチを試みている。だが、最近脳が移植したデバイスを押し出してしまう現象が発生するなど困難に陥っている。頭にデバイスを移植すれば、近い距離で脳の変化を細かく測定できるという利点がある。
脳波を外部機器で測定する非侵襲型方式は、移植に抵抗がある人でも利用できる。脳から出る弱い信号をとらえなければならないという難しさがあり、精密信号測定や脳波外測定手段の活用、AIなどを活用した信号分析などの研究が進められている。
さらに、侵襲型デバイスは電気信号を発生させて脳に情報を入力できるという潜在力があるが、非侵襲デバイスは脳を読み取ることしかできないという限界がある。
現在BCI技術は眠気脳波測定による運転・作業者警告システム、不眠症治療用電子薬などが商用化された。
非侵襲型BCI技術は次世代拡張現実(XR)操作方式とされている。ゲーム流通プラットフォームのスチーム(STEAM)運営会社バルブの創業者であるゲイブ・ニューウェルは、BCI活用ゲームに関心を示し、技術開発スタートアップを創業した。【news1 キム・スンジュン記者】
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