矯正施設の過密化を解消しないことは、すなわち国の違法行為に当たる――。最高裁判所は、収容者が最小収容面積に及ばない狭い空間に収容された場合、国家が賠償しなければならないと判示した。
過密収容が違法だという判断は憲法裁判所から、まず出されている。その詳細を振り返ると――。
2012年、A氏は業務妨害罪などで略式起訴され、罰金70万ウォンが確定した。ところが、罰金の納付を拒否し、ソウル拘置所に10日間収容された後、釈放された。
この際、A氏は「拘置所にいた時、1人当たりの面積が1.24平方メートルで、成人男性が腕や足を伸ばしたりするのが難しかった。人格権を侵害された」として憲法訴願を請求した。
憲法裁は2016年、裁判官全員一致の意見で違憲決定を下し、次のように指摘した。
「収容人数が適正な数を超過すれば、受刑者の生活環境が悪化し、喧嘩・暴行などが頻発する恐れがある。矯正施設の秩序維持に否定的な影響を与え、矯正能力を低下させ、結局、受刑者の再社会化を阻害する」
また受刑者の人権と関連して「この拘置所はスペースが狭すぎ、受刑者同士がぶつからないためには、横向きになって体を曲げて眠らなければならないほどだった。人としての品位を保てないほど、過密な空間での収容行為であり、人間の尊厳と価値が侵害されたと考えられる」と断じた。
◇過密自体が人権侵害
拘置所・刑務所に収監されていたB、C、D氏は「狭い空間で他の収容者とともに収監され、身体的・精神的苦痛を体験した」として、国を相手取って損害賠償訴訟を起こした。
1審は3人の請求を棄却した。
だが、控訴審は刑務所・拘置所での1人当たりの最小収容面積を「2平方メートル」と規定し、「3人がこれより狭い空間に収容された期間について、国が賠償する責任がある」としたうえで、B氏には150万ウォン、C氏には300万ウォン、D氏には50万ウォンをそれぞれ支払うよう命じた。
最高裁も昨年、「2平方メートル未満の部屋に収容されたかを違法性判断の基準として国の賠償責任を認めた判断は納得できる」として2審の判断を支持した。
そのうえで最高裁は改めて国に対策を促した。
「人間の生存に必要な基本的設備が整っていない矯正施設に国が収容する行為は、収容者の人としての尊厳と価値を侵害するものであり、違法な行為になり得る。予想外の収容率の急上昇のため一時的に過密状態になったというような特別な事情がなければ、過密収容はそれ自体が人権侵害だ」
(おわり)
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