2025 年 11月 20日 (木)
ホーム社会急加速・操作難で事故多発…「0→100km/h」が3秒の電気自動車、凶器化の懸念も

急加速・操作難で事故多発…「0→100km/h」が3秒の電気自動車、凶器化の懸念も [韓国記者コラム]

資料写真=済州消防署提供(c)news1

ソウル市鍾路区の東大門駅付近で11月2日、酒に酔った男性が運転する電気自動車(EV)が歩道に突入し、観光で訪れていた日本人母娘がはねられ、母親が死亡する事故が発生した。さらに同月8日には、大田市中心部で10台が絡む玉突き事故が発生し、バイク運転者が死亡した。いずれの事故も加害車両はEVだった。

背景には、EV特有の急加速性能と操作性の難しさがある。ガソリン車と異なり、EVはアクセルを踏んだ瞬間に最大出力が伝達される。多くの車種が「ゼロ百」(停止状態から時速100キロに達する時間)を3秒前後で達成し、ガソリン車(8〜10秒)より格段に速い。この特性が、操作ミスや認知能力の低下がある状態での運転時に、致命的な事故につながりやすくしている。

未来自動車専門家である大林大学のキム・ピルス教授は「飲酒状態や高齢運転者など、操作感覚が鈍っている場合、EVの加速力を制御しきれず、大事故につながる危険性が高まる」と指摘する。

加えて、EVには「ワンペダルドライビング」と呼ばれる独特の運転モードがある。アクセルペダルを離すと減速・停止が同時に起こる機能で、ブレーキの代わりとなる「回生ブレーキ」が作動する。これに慣れていない運転者は、思わぬ操作ミスを引き起こす可能性がある。

2024年8月、京畿道龍仁市で60代の女性会社員が運転するテスラのEVがカフェに突っ込み、11人が負傷する事故が発生した。警察の調べによれば、この女性は「ワンペダルドライビングに慣れておらず操作を誤った」と供述している。

EVの普及が急速に進む一方で、安全教育は追いついていない。韓国の気候エネルギー環境省によると、2025年11月時点で新規登録されたEVは20万台を超え、2026年初頭には累計100万台に達する見通しだ。今年販売された新車のうち、EVの割合は13.5%に上る。

だが、EVは非EVよりも事故の発生率が高い。韓国の保険開発院が発表したデータによると、2019〜2023年の間にEVの車両保険による事故件数は6万2266件で、1万台あたりの事故件数は1096件。これに対し、非EVは同期間に1万台あたり880件であり、EVの事故率は約1.25倍高い。

今後の課題として、EV特有の操作法や急加速に対する理解を深める教育の充実が求められる。専門家は「加速性能が高いことは魅力だが、その分、扱いを誤れば命を奪う危険がある。免許取得時や購入後の操作教育を義務化すべきだ」と警鐘を鳴らしている。【news1 クォン・ジュノン記者】

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular