韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)次期大統領とともに国政運営を担う首相を始め、次期内閣の構成に関心が高まっている。ユン氏は首相と大臣の自律性を強調していただけに、その役割はこれまでよりも大きくなるという見方が出ている。
政界関係者は、今年5月10日の政権発足を前に、次期首相は早ければ今月末、遅くとも来月初めには輪郭があらわれるとみている。国会の人事聴聞会と本会議の承認手続きなどを考慮した観測だ。
首相には、政権引き継ぎ委員会を率いるアン・チョルス(安哲秀)氏が有力候補とされる。アン氏は大統領選でユン氏と一本化して「国民統合政府」を約束し、引き継ぎ委員長を務めている。「共同政府」という公約の履行を象徴する適任者という評価だ。
同時に「実用」的な人事という評価もある。ユン氏は選挙期間中、首相・大臣の責任・自律性強化を公約した。このため、次期首相は政策を調整しながら内閣を実質的に率いる可能性が高い。引き継ぎ委員長を務め、国政運営の基礎を固めるアン委員長が有力視されているもう一つの理由だ。
ただ、アン委員長には10年余りの政治経験がある一方で、まだ行政経験がなく、「責任首相」にまで格上げされる首相職を受け持ち、内閣を統括するには負担が伴うのではないかという観測もある。
政権交代直後の初めての首相は、特に「与小野大」の局面に初めて向き合わなければならないため、政治・国政経験が必要になるわけだ。それゆえ、アン委員長は首相より、自身の専門性を生かして、科学技術副首相職として国政に第一歩を踏み出すのではないかという見方も強まっている。
新政権発足後に迎える極端な「与小野大」政局を考慮して、全羅道(チョルラド)、あるいは共に民主党系出身者の首相候補者を指名する可能性もある。ここでは、キム・ハンギル(金漢吉)国民統合委員長とキム・ビョンジュン(金秉準)地域均衡発展特別委員会委員長も首相候補に挙げられている。
キム・ハンギル委員長は新政治民主連合代表、キム・ビョンジュン委員長はノ・ムヒョン(盧武鉉)政権出身で「元祖・親盧」に分類される。加えて、光州(クァンジュ)と全羅道(チョルラド)で当選4回の元国会副議長のパク・ジュソン(朴柱宣)大統領就任式準備委員長も、同じ理由で首相候補に挙がっている。
ただ、こうした議員は現在の共に民主党関係者と関係が円満でないという評価があり、実際に「与小野大」の局面を突破できる効果的なカードなのかについては疑問が残る。
不動産や経済部分の重要性を考慮し、韓国開発研究院(KDI)出身の70年代生まれ、ユン・ヒスク元議員を「刷新カード」として取り上げる向きもある。選挙対策本部長を務めたクォン・ヨンセ(権寧世)引き継ぎ委副委員長、ウォン・ヒリョン(元喜龍)引き継ぎ委企画委員長、キム・ギヒョン国民の力院内代表、チョン・ジンソク国会副議長の名前も浮上している。
現在の引き継ぎ委員らは内閣参加の可能性が高いという評価を受けている。大半がユン氏の選挙対策本部で活動した経歴がなく、縁よりも能力と専門性を重視した人物という点で、経歴や能力を考慮すると、その高い。
アン委員長へのポスト分配にも関心が集まっている。引き継ぎ委員24人のうち8人はアン委員長側の人物とされる。引き継ぎ委で明らかになったユン氏とアン委員長との間の配分が、内閣の構成でも再現されるのではないかという見方が出ている
©news1