
「人は多いが、外国人はどこに?」。大阪・関西万博の会場を歩く間、ずっと頭を離れなかった疑問だった。人気のパビリオンに入るために70分以上並ぶのは当たり前。日本のアーティストが参加したシグネチャーパビリオンの前にも長蛇の列ができていた。
それだけ見どころ満載で、建築・コンテンツ・技術が融合した展示の完成度は予想を上回っていた。
だが、その空間を埋めていた観覧客の大半は日本人だった。
この万博は国際博覧会機構(BIE)が認定した「登録博覧会(Registered Expo)」であり、ワールドカップやオリンピックと並ぶ世界三大イベントの一つだ。開催国は数年間にわたり数十億ドルの予算を投じて準備する巨大プロジェクトである。
今回の会場は大阪港南の人工島「夢洲」に造成された。デジタル・生命・持続可能性をテーマに掲げ、150カ国と国際機関が参加しており、2025年4月13日から10月13日までの6カ月間にわたって開催される。
建築の象徴性や没入型コンテンツの完成度は高く、グローバル企業館やギネス記録の木造リング「グランドリング」など、テーマと一致した展示物が観覧客の目を引いた。観覧動線や休憩スペースの配置にも工夫が凝らされており、夕方まで滞在しても見きれないほど内容が豊富だった。
しかし、観覧客の構成を見れば興行面の限界は明白だ。
6月14日時点で累積観覧者数は782万人。主催者が掲げる目標は2820万人で、残り122日間で毎日平均16万7200人が必要となる。現在は平均12万4000人程度にとどまり、目標達成は容易ではない。しかもその90%が日本人だという統計は、外国人誘致に失敗した現実を浮き彫りにする。
特に訪日観光市場1位の韓国からの来場者が少なかったことは意外で、日本政府観光局(JNTO)の関係者すら「韓国人はなぜこんなに来ないのか」と問い返したという。
最大の原因は、外国人向けのマーケティング戦略の欠如だ。万博の魅力を伝えるプロモーションは大衆的な宣伝に偏っており、SIT(特別目的観光)層に向けた戦略は不足していた。建築学・デザイン・医療・生命科学など万博のテーマと関連する分野の学生や専門職、あるいは青少年向け教育プログラムと連携していれば違った結果も期待できただろう。
また、ビジュアルコンテンツの拡散も不十分だった。写真映えする構造物や参加型展示は多かったが、韓国のSNSやオンラインコミュニティではほとんど共有されていなかった。
これは、国際イベントの誘致に熱を入れてきた韓国にも重要な示唆を与える。2030年釜山万博の誘致では前例のない外交戦を繰り広げながらも敗北を喫し、2023年の世界スカウトジャンボリーでは運営不備により国際的な批判を浴びた。
結局、国際イベントは誰が訪れ、どんな体験をし、どう記憶に残るかを設計することが「本当の準備」なのだ。
「よく作られたイベント」はあったが、「外国人のための戦略」はなかった――大阪万博は、まさにそれを物語る事例だ。【news1 ユン・スルビン記者】
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