韓国と欧州をつなぐ旅行チャンネルになる――こんなビジョンを掲げて2004年から「EuroKor Travel」という旅行会社を運営していたソ・テウォン代表。だが、新型コロナウイルス感染拡大により廃業危機の直撃弾を受けた。
2020年初め、ウィーン少年合唱団音楽院のオーストリア演奏旅行、Kヨーデル合唱団のアルプス演奏旅行などを準備するため、ドイツ・スイス・オーストリアなどで現場踏査に通っていた。そんな時、新型コロナですべての日程が無期限延期された。
「事業的に大きなプロジェクトを迎え、最も期待された年だった。でもすべてキャンセルとなり、顧客に予約金を払い戻した。いつ終わるかわからないパンデミックにより、事実上事業をやめるしかなかった」
ソ・テウォン氏はこう振り返った。
最小限の生活費でも稼ぐため、クーパンに宅配運転手として入社した。「旅行業は焦土化し、暗澹たる状況だった。それでも何もしないわけにはいかなかった。肉体労働をしながら時を待つことにした」
少しでも稼ぎを多くするため、より厳しい労働である深夜配送を選んだ。主にソウル市の江西(カンソ)区と陽川(ヤンチョン)区のアパートや住宅の密集地を宅配トラックで走り回る生活を1年以上続けた。
そして、昨年6月、新型コロナ感染がやや緩和され、旅行業も蘇りの兆しを見せる。すると、クーパンを退社し、ソウル・合井洞(ハプチョンドン)の片隅に共有オフィスを設け、本業に復帰する準備をした。
ところが、新型コロナ再拡散、特に感染力の強いオミクロン変異が流行し、旅行の道は再び閉ざされた。
「新型コロナの長いトンネルで深い挫折を経験せざるを得なかった。クーパンを退社した状況だったので本当に困った」
©MONEYTODAY