2025 年 12月 29日 (月)
ホーム社会年末の韓国、個人寄付は低調…「生活が苦しくて迷ってしまう」

年末の韓国、個人寄付は低調…「生活が苦しくて迷ってしまう」

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韓国では年末恒例の寄付キャンペーンが展開されるなか、個人の寄付参加が低調にとどまっている。物価高や生活費負担の増大が背景にあり、「寄付したい気持ちはあるが、実際には余裕がない」という声が相次いでいる。

韓国の社会福祉共同募金会(愛の実)が実施している「希望2026分かち合いキャンペーン」では、目標金額の達成状況を示す『愛の温度計』が24日現在で69.5度にとどまり、前年同日(70.5度)を1度下回った。この温度は目標額の1%に相当する寄付が集まるごとに1度上昇し、100度に達すれば目標達成となる仕組みだ。

今回のキャンペーンの目標額は4500億ウォン(約510億円)で、これに対し12月24日時点の累計寄付額は3129億ウォン。なお、昨年はキャンペーン終了前の1月13日に100度を達成し、最終的に108.6度に達している。

キャンペーン主催者によると、今年は企業・法人による寄付は例年より早い段階だったものの、全体としては「上昇のペースが鈍い」という。

現地の声からも、家計の逼迫を理由に寄付を見送る人が目立つ。ソウル・光化門で取材に応じた20代の女性会社員は「物価は上がるのに給料は据え置きで、寄付する余裕がない」と語った。30代の男性会社員も「生活費のやりくりで精一杯。寄付はしたいが、現実的には難しい」と吐露した。

そんな中、赤い鍋で知られる救世軍の街頭募金活動「慈善鍋」には、比較的温かな反応が寄せられている。11月28日から始まった同キャンペーンは12月31日まで実施され、22日時点での募金総額は約20億ウォンと、前年同日比で5%増加した。

ソウル・明洞(ミョンドン)の劇場前で募金を呼びかけていた救世軍スタッフは「特に親子連れの参加が目立ち、明洞は他地域より寄付率が高い」と話す。実際、小学生と思われる子どもたちが次々と紙幣を鍋に入れる姿も見られた。

ソウル在住の11歳の少年は「困っている人のために千ウォンでも意味があると思って」と語り、33歳の男性は「困っている子どもたちの助けになればと思い、1万ウォンを寄付した」と述べた。

個人寄付の低迷について、専門家は一過性の現象ではなく、構造的な問題だと分析している。

成均館大学のク・ジョンウ教授(社会学)は「寄付の減少傾向は生活費の増加と資産格差の拡大と密接に関係しており、結果として『自分の生活で精一杯、他人を助ける余裕がない』という認識が広がっている。寄付も一種の“投資”と捉えるべきで、金銭的なリターンはなくとも精神的な満足や誇りといった『非金銭的報酬』を実感できなければ、人々の心は動かない」とし、寄付先がより創造的な方法で意味や価値を伝える努力が必要だと強調した。

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