Startup Story ~~ 成功のカギ
ジェントルエネルギー(Gentle Energy) ソン・チャールズ・ギソク共同代表
自家発電センサーを基盤にしたサブスク型のスマートファクトリーソリューションを開発した「ジェントルエネルギー(Gentle Energy)」。ソン・チャールズ・ギソク共同代表は最近、息つく暇もなく忙しい。韓国内外の営業から投資誘致(IR)、採用面接など日程が一度に集まっている。「身体は疲れていますが、ジェントルエネルギーが本格的な成長軌道に乗ったようで幸せです」。ソン代表はこう話す。
◇「機械に取り付けるだけ」
ジェントルエネルギーは2019年に設立。サブスク型スマートファクトリーソリューション「ファクトロイド(Factoroid)」を開発したスタートアップだ。ファクトロイドとは、工場における工程の現況や環境などのデータを、センサーが収集して人工知能(AI)で分析して、経営指標を作るソリューションだ。
「この経営指標を活用すれば、年7%以上の工場運営費を削減できます。顧客企業は毎年、1カ月分の工場運営費を節約できるということです」。ソン代表はこう胸を張りながら「ファクトロイドのROI(投資収益率)は250%レベル」という数字を掲げた。
価格競争力も高い。
センサーが振動・熱・光など外部エネルギーを、エネルギー源として使用するよう開発されており、別途電力を供給する必要がない。これは、スマートファクトリー導入時に装備設置や電力供給の工事などの費用がかからない、という意味でもある。
「ファクトロイドセンサーはそのまま工場機械に取り付けるだけでいい」(ソン代表)というわけだ。そこにソフトウェアソリューションをサブスク型で提供し、初期購入費用も大幅に引き下げた。
◇青年企業大会の優勝で知名度アップ
このような強みがありながら創業初期成長には困難もあった。主な顧客である伝統的な製造工場のトップたちは、スタートアップであるジェントルエネルギーのソリューションを容易に信頼できなかったからだ。
ところが、昨年参加した「青年企業家大会」が、どんでん返しのチャンスだった。現職のベンチャーキャピタル(VC)とアクセラレーター(AC)22人が審査委員を務めた大会だったからだ。
ジェントルエネルギーは175のスタートアップと競争して優勝を勝ち取り、ビジネスモデルの卓越性と成長の可能性を証明した。MONEYTODAYの「ユニコーンファクトリー」コーナーで創業・成長ストーリーの記事が紹介され、業界で口コミが広がった。
「青年企業大会の優勝以降、知名度が上がり、7億ウォン規模の契約を結ぶことができました。それまでに契約していた10件ほどの契約規模が1億ウォンレベルにとどまっていたことに比べると、約7倍の大規模契約でした」
ソン代表はこう振り返った。
今年はスマートファクトリー・オートメーションワールド展示会に出品し、1日3~4カ所ずつ契約ミーティングする勢いが続いている。
◇ESG経営トレンドに合わせ
大会参加以降、投資家の関心も大きくなった。
ソン代表は「現在、投資誘致を進行中」といい、「6カ所以上のベンチャーキャピタルが投資を確定し、上半期中に投資誘致を完了する予定」と明らかにした。2020年10月、米国証券関連事業会社「Capstone Partners」「Hana Ventures」などから投資を誘致して以来となる。
ジェントルエネルギーは最近、米国最高権威の発明授賞式である「エジソンアワード」で銀賞を受賞した。ファクトロイドのアイデアと技術力が世界的な製造業のデジタル転換に有望だということを評価されたからだ。
ソン代表は「年内にAIソリューションをより高度化し、より多くの顧客企業にソリューションを納品すること」を目標に掲げる。
まだ規模が小さいスタートアップだが、社会的責任も果たすという。
今年、同社は40人余りの社員のうち2人の「経歴断絶女性」(結婚・出産・育児などで一度社会から離れた女性)を新規採用した。「ジェントルエネルギーは多くの方に助けられながら成長してきました。これからは、ESG経営トレンドに合わせ、できる限りの社会的責任を果たしていきたいです」。ソン代表はこう強調した。
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