
韓米間の関税交渉が妥結するなど経済的な転換点を迎えたにもかかわらず、韓国経済はウォン安という新たな深みにはまり込んでいる。
ウォン・ドル為替レートは1480ウォン台で膠着状態を続けており、市場では心理的な抵抗線である1500ウォンの突破は時間の問題との見方が強まっている。
政府はあらゆる外貨需給対策を講じているが、市場は「短期的な処置に過ぎない」として冷ややかな反応を見せている。
政府は、最近の急激な為替上昇について「ファンダメンタルズ(経済基礎体力)の問題ではなく、一時的な需給の歪み」と分析している。これに基づき、外貨供給を最大化するための対策を次々と打ち出している。
まずはドル流出を防ぐため、国民年金のドル需要を韓国銀行とのスワップ契約でヘッジし、為替ヘッジ比率を引き上げて市場への影響を抑えた。
また、外国資本の流入を促すため、外為健全性規制の緩和や外国人投資環境の改善にも力を入れている。具体的には▽銀行の外貨ストレステストを一時免除▽外資系銀行の先物為替ポジション限度を200%に拡大▽外貨貸付用途の拡大による市場へのドル供給強化▽外国人の統合口座制度を活用した債券・株式投資の促進▽海外上場外国企業への“専門投資家”資格付与で規制緩和――など。
韓国銀行も対応を加速。銀行の外貨準備預金に利息を一時的に付与し、ドルの海外流出を抑制。さらに、外貨借入時に課される健全性負担金を6カ月間免除するなど、外貨調達コストを大幅に引き下げた。
一方、市場はこのウォン安を「韓国市場の魅力低下による資本流出型通貨安」と見ている。国際決済銀行(BIS)によると、2025年11月の韓国の実質実効為替レート(REER)指数は87.05にまで下落。これはIMF通貨危機当時(1998年11月=86.63)やリーマン・ショック後(2009年4月=85.47)と同等の水準だ。
さらに、現在の韓国ウォンの購買力順位は64カ国中63位。唯一下回るのは長期デフレに陥った日本の円(64位)であり、世界で最も価値が落ちている通貨の一つとなっている。
新韓銀行S&Tセンターエコノミストのキム・ソジェ氏は「国内投資家が海外市場へと資金を移しているのは、韓国経済に成長性への確信が持てないからだ。為替安定のためには短期処置以上の本質的な対策が必要」と指摘する。
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