2025 年 7月 10日 (木)
ホーム社会山火事で“家を守った”愛犬が全身やけど、それでも驚異の回復劇…韓国・命を支えた獣医たちの絆

山火事で“家を守った”愛犬が全身やけど、それでも驚異の回復劇…韓国・命を支えた獣医たちの絆

左は救助直後のモンシリ。右は元気な表情を取り戻したモンシリ=ドロシー犬保護団体、SNC動物メディカルセンター提供(c)MONEYTODAY

韓国慶尚北道安東(アンドン)で2025年3月に発生した超大型の山火事で、高齢夫婦が急いで避難する際、愛犬のモンシリに首輪を外し「逃げろ」と叫んだ。しかし、当時3歳だったモンシリは家を守るため戻り、全身に火傷を負った。

火事から100日後の6月30日、あの惨状からモンシリがどのような運命を辿ったかが明らかになった。

山火事から約1カ月後、火災現場から約250キロ離れたソウル・江南にある動物病院「SNC動物メディカルセンター」に緊急の電話が入った。「重度の火傷を負った犬がいる。治療できるか」という内容だった。

病院に到着したモンシリの姿は痛ましいものだった。体は黒く焦げ、皮膚が剥がれ落ち、かつて白く艶やかだった毛の代わりに赤くただれた皮膚が露出していた。病院の院長で獣医師のチェ・ジュンヨンさんは「目の周囲、顔、耳、尻、足の裏、脇腹、尻尾まで火傷していた。皮膚が壊死して黒く見えていたが、剥がれ落ちると赤い生身が出てきた」と語った。

皮膚というバリアを失ったモンシリは、空気中や地面の細菌にも晒され、命が脅かされていた。特に二次感染による敗血症のリスクが高く、すぐに対応が必要だった。火災による煙や灰でモンシリはすでに感染を起こしており、皮膚移植手術もできない状態。まずは自然治癒を促す再生治療が必要だった。

モンシリの火傷は広範囲に及び、例えば尻の治療中に耳の患部が落ちてしまい、再び感染の危機にさらされるなど、治療は困難を極めた。剥がれた皮膚のため、モンシリは座ることもできず、立ったまま眠っていた。

治療中、痛みに耐えきれず泣き叫ぶモンシリを、医療スタッフは鎮静させながら少しずつ処置を進めていった。目には潰瘍ができ、角膜が損傷しており失明の危険もあった。チェ・ジュンヨンさんは「手術のため強制的に目を閉じさせ、糸で縫い、確認しては再び縫うという作業を繰り返した」と説明した。

だが、医療チームの懸命な努力が実を結び、モンシリは回復に向かい始めた。視力にも異常は見られず、幹細胞由来のエクソソーム治療の効果で、従来の火傷治療よりはるかに速く治癒が進んだ。真っ赤だった皮膚には美しい新しい皮膚が再生し、治療開始から約2カ月で著しい回復を見せた。

チェ・ジュンヨンさんは、回復したモンシリを連れて安東に戻った。当初、生存すら危ぶまれたモンシリを再び抱きしめた高齢夫婦は涙を流した。「こんなに良くなるとは思わなかった。本当にありがとう」と感謝の言葉を繰り返したという。

チェ・ジュンヨンさんは「動物は獣医の助けがなければ生き延びることができない。その思いだけで動いた。これは当然のこと。私以外に名もなき多くの獣医師が支援してくれた。これからも奉仕を続けたい」と語った。

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular