
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)氏が4日に大統領職を罷免されたことを受け、在任中に浮上していた数々の疑惑への捜査が本格化する見通しとなった。罷免によって不訴追特権が失われたことで、検察・捜査当局の動きが加速するとみられている。また、妻のキム・ゴニ(金建希)氏に関する司法リスクも再び注目を集めている。
韓国検察当局によると、ソウル中央地検の「ミョン・テギュン氏公認介入疑惑」担当チームは、ユン氏夫妻が2022年6月の国会再・補欠選挙や、昨年実施された第22代総選挙などでミョン氏の依頼を受け、公認候補の選定に関与したとの疑惑を捜査している。
これまで検察は、オ・セフン(呉世勲)ソウル市長に関連する疑惑などを中心に捜査を進めてきたが、ユン氏が大統領を罷免されて不訴追特権を失ったことで、本人に対する直接捜査の障害がなくなった。今後、関連捜査が本格的に展開されると予想される。
捜査の過程では、キム・ゴニ氏がミョン氏から非公開の世論調査結果を事前に受け取ったとされる疑惑に関して、召喚調査が実施される可能性も取り沙汰されている。2カ月後に予定されている大統領選挙までに捜査を終えるという見方も出ている。
また、2023年に発生した海兵隊員の殉職事件に関連し、龍山の大統領室や関係機関が捜査を妨害し、組織的な圧力をかけたとする疑いについても、韓国の高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が本格的な捜査に乗り出す見通しだ。
特にキム・ゴニ氏をめぐっては、複数の疑惑が再燃している。ソウル高検は「ドイツモーターズ株価操作事件」や「高級ブランドバッグ受領事件」などについて、再捜査の可能性を検討している。
野党「共に民主党」は、キム・ゴニ氏に対する特別検察の常設化(常設特検)の法整備を進めつつ、圧力を強めている。特検対象には、ドイツモーターズおよび三富土建による株価操作疑惑、運営会社「コバナコンテンツ」への賄賂性協賛、高級バッグの受領、大統領執務室と官邸の移転に関する国家契約介入疑惑、さらにはソウル~楊平(ヤンピョン)高速道路の特恵疑惑など、計11件が含まれている。
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