◇国民の力「入党」
検察総長の辞任後、ユン氏は一気に「有力大統領候補」に浮上した。数カ月の潜行後、昨年6月末、政治参加を宣言し、「高い期待には及ばないビジョン」と「洗練されないメッセージ」を露呈した。結局、総長辞任から5カ月、野党第1党「国民の力」に入党するという勝負に出た。
国民のさまざまな意見を聞くといって、しばらくは党籍を持たずに民意を聞く歩みを続けた。党内のベテラン政治家たちと党内選挙で堂々と戦うと宣言したのだ。政治初心者としては容易でない決定だった。支持率1位で党内での厳しい検証と攻勢が予見された。
だが、外堀を埋めることよりも政権交代に重点を置いた入党決定は、結論的にユン氏が政治家に生まれ変わる重要な転換点として評価される。党内競争を選択したユン氏は、入党後、さまざまな失言やリスクにもかかわらず、徐々に政治力をつけ、結局、党内選挙で政治経歴26年のホン・ジュンピョ(洪準杓)議員を圧倒し、野党第1党の大統領選候補になる。
仁荷(インハ)大政策大学院のパク・サンビョン教授は「政治初心者で第3地帯にあり、共に民主党にも行けるのに国民の力に入党して『反ムン』の先頭に立ち、その先鋒隊長のイメージを極大化した。以後、予備選挙で政治力と競争力を見せながら、検察総長から大統領選挙候補に生まれ変わった」と分析した。
◇危機のたびリーダーシップを発揮
昨年11月5日の党内選挙の勝利後も、大統領への道は容易ではなかった。コンベンション効果はすぐに消え、マンモス選挙対策委員会は方向性を失った。特にユン氏と近い関係者と、イ・ジュンソク(李俊錫)代表との間で対立が起こり、国民の力は昨年末、深刻な内紛に陥った。
今年の新年世論調査で、共に民主党候補のイ・ジェミョン(李在明)氏にリードされると、キム・ジョンイン(金鍾仁)総括選挙対策委員長が1月初め、一方的に刷新案を出して、党内の対立は絶頂に達した。この時、ユン氏は選挙対策委員会を解体して、キム・ジョンイン委員長と決別する一方、イ代表を再び復帰させる決定的な勝負に打って出て、支持率の反転に成功した。
時代精神研究所のオム・ギョンヨン所長は「1月初め、イ・ジュンソク代表と劇的に和解し、選対委を解体する一連の過程を通じて、イデナム(20代男性)が戻ってくる土台を作った」と評した。
中道野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)代表の一本化提案・撤回と一本化決裂を克服し、期日前投票日前日の3日、一本化を実現した。
大統領リーダーシップ研究院のチェ・ジン院長は「ユンの核心的な関係者との論議もあったが、それなりのリーダーシップを見せ、党内主流に速やかに定着した。イ・ジュンソク氏、ホン・ジュンピョ氏らとの関係で揺らぎもあったが、バランスを取りながら底力を見せた。終盤にアン・チョルス氏との一本化まで果たし、政治的リーダーシップを証明した」と分析している。
©MONEY TODAY