2025 年 1月 18日 (土)
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尹支持者の悲嘆と過激行動…精神科医が警鐘「集団的パニックの危険も」

16日午後、ソウル中央地裁前で集会を開くユン大統領支持者ら(c)MONEYTODAY

韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の逮捕・拘束という前例のない事態が発生し、支持者の間で悲嘆や極端な行動が相次いでいる。15日、大統領の逮捕後には涙を流し、極度の悲しみに暮れる姿が各地で目撃されたほか、支持者とされる60代男性が焼身自殺を図る事件も発生。専門家らは、このような状況が国民の精神健康に深刻な影響を及ぼす恐れがあると指摘している。

ソウル中央地裁は16日夜、ユン大統領の逮捕が適法であるかを審査する「逮捕適否審査」の請求を棄却。逮捕状の効力が維持される形となった。こうした法的手続きの進行に伴い、支持者たちは「国を失ったようだ」「大統領を失うかもしれない」といった悲嘆の声を上げている。この感情は「喪失感」と表現されるが、その程度は個人によって異なるため、不用意な言葉がかえって対立を助長しかねないと専門家は警告している。

漢陽大学九里病院のチェ・ジュノ教授(精神科医)は「喪失感とは、修復不可能な喪失を経験した時に感じるもの」と説明している。親族の死や失業、重大な健康問題などが典型例だ。一方で、ユン大統領に対する法的手続きは進行中であり、確定的な状況ではないため、感情を完全には理解しがたいとの見解もある。

チェ教授は政治的な話題は「時と場所を選ぶべきだ」とし、家族内で意見が対立する場合には特に注意が必要だと助言する。食事中や外出直前など、相手が話に集中できない状況で政治的な議論を持ち出すと、対立が激化する可能性があるため、十分に時間と空間を確保したうえで進めるべきだとしている。

政治的混乱が長期化すれば、集団的な不安が「集団パニック」や「心理的危機」につながる恐れがある。高麗大学九老病院のハン・チャンス教授は「政治的な不安と社会・経済的危機が重なると、国民の精神的回復力が著しく低下し、トラウマを引き起こす可能性がある」と述べた。これが長期化すると、不安障害やうつ病、さらには外傷後ストレス障害(PTSD)へと進行する危険性もあるという。

ハン教授は、感情を抑え込むのではなく、健康的な方法で認識して表現することが重要だと強調する。また、過剰なニュース視聴は自律神経系を刺激し、不安や緊張を増幅させるため、特に夜間の視聴を避けるべきだと助言している。ニュース以外の時間には、趣味や日常のルーティンを通じて心の安定を図ることが推奨される。

チェ教授は「もし影響が2週間以上続き、睡眠や食欲に異常を感じる場合は、精神科医を訪ねて相談すべきだ」と述べ、早期の対処が重要であると訴えている。

(c)MONEYTODAY

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