韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の弾劾案が国会を通過したことで、「内乱特検法」と「キム・ゴニ(金建希)特検法」が本格化しそうだ。これまでユン大統領の拒否権行使に阻まれてきたこれらの特別検察法案が、ユン大統領の職務停止状態を契機に加速しつつある。
野党「共に民主党」は「12月3日戒厳事態」に関する真相究明のため、特別検察(特検)と国政調査を同時進行させる方針だ。特に内乱事件に関連する特検法案は既に国会を通過しており、特検構成に向けた準備が進んでいる。また、ユン大統領の妻キム・ゴニ氏をめぐる特検法も、これまで大統領による3度の拒否権行使で阻まれていたが、今回は迅速に進む可能性が高い。
ユン大統領が職務停止状態にあり、現状ではハン・ドクス(韓徳洙)首相が代行を務めている。過去の権限代行例では拒否権を行使したケースが極めて少ない。そのため、キム・ゴニ特検法は成立するとの見方が強まっている。
内乱特検法が進展すると、過去最大規模の特検チームが構成される予定だ。派遣される検察官は最大40人、調査期間は最長150日で、2016年のパク・クネ(朴槿恵)大統領(当時)らに対する特検を上回る規模となる。
一方、特検の構成には時間を要するため、まずは国政調査が先行する可能性が高い。特検では内乱事態の真相解明と責任追及が進められ、与党および政府関係者の関与が明らかにされる。
共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)代表は、内乱事件やキム・ゴニ氏に関する疑惑を徹底的に調査すべきだと主張している。
また、ユン大統領が「強く反論し戦う姿勢を示している」と指摘し、特検が公正な調査を実施しなければ、弾劾が進展しても責任の所在が曖昧になる可能性があると警鐘を鳴らした。
一方で、ハン首相が拒否権を行使した場合、野党は首相に対する弾劾手続きも視野に入れるとしており、与野党の対立は一層激化するとみられる。
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