
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領による非常戒厳宣言が韓国国内で混乱を引き起こす中、徴用工問題で悪化している日韓関係にさらに悪影響を及ぼす可能性が指摘されている。2025年に予定されている日韓国交正常化60周年事業や石破茂首相の訪韓計画にも影響が及ぶとの見方が浮上している。
日本の主要メディアは、ユン大統領の弾劾が現実のものになる可能性を見据えつつ、今回の事態が両国関係に与える影響に注目している。日本政府は、菅義偉元首相(日韓議員連盟会長)の今月中旬の訪韓を中止する方針を固め、石破首相の訪韓を含む外交計画についても「慎重に状況を見守る」との姿勢を示した。この影響で、今後の日韓関係改善の動きは鈍化する可能性が高い。
ユン大統領は、国内の批判を押し切り、徴用工問題の解決策を提示するなど、日韓関係改善を外交の重点課題として取り組んできた。ユン政権下では、日韓首脳間の「シャトル外交」の復活、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の完全復元、輸出規制の緩和などの成果があった。
しかし、徴用工問題をはじめとする歴史問題では依然として停滞している。韓国側が求める日本からの「誠意ある対応」は見られず、この状況が韓国国内の世論悪化を招き、ユン政権への負担が増している。
特に、最近開かれた「佐渡金山の労働者追悼式」への韓国側不参加は、日韓関係を再び冷え込ませる要因となっている。こうした状況で非常戒厳令が加わり、日本側の外交方針がさらに消極的になる可能性が高まっている。
一部の専門家は、今回の戒厳令とその後の弾劾局面が長期化すれば、来年の日韓国交正常化60周年記念事業は縮小されるか、完全に中止される可能性もあると指摘している。
梨花女子大のパク・ウォンゴン(朴元坤)教授は「ユン大統領は政治的資産をほぼすべて投入して韓日関係改善を進めてきたが、今回のような不測の事態が続けば、その努力が水泡に帰す可能性がある。韓日関係の管理は極めて重要であり、予期せぬ問題が再び発生すれば、現政権が対応しきれるかは疑問」との見解を示した。
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