韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が憲法裁判所の弾劾審判の弁論期日に全て出席すると明らかにしたことで、観光名所として知られるソウル市鐘路区の北村(プクチョン)一帯が大統領警護区域に指定され、事実上の「通行禁止区域」となっている。
警察は「一般市民の通行は可能」としているが、現場では近隣住民や観光客の通行が制限されるなど混乱が発生している。これにより、周辺商業施設の売り上げが激減し、店主たちからは不満の声が上がっている。
ユン大統領の出廷予定時間の約2時間半前だった21日午前11時30分、警察は「この場所は大統領警護区域である」として、市民に100メートル以上離れるよう案内放送を始めた。その後、安国駅交差点から憲法裁判所へ至る道にはバリケードが設置され、一般市民の通行が制限された。一部の住民や訪問目的が明確な人々には警察の付き添いで通行が許可された。
通行制限の影響で、北村を訪れていた観光客や市民たちは足を止めざるを得なかった。外国人観光客や子どもを連れた家族らが引き返す光景が見られた。制限は21日と23日の午前11時ごろから午後5時ごろまで約6時間にわたり続き、事実上「通行禁止区域」と化していた。
北村エリアの飲食店や店舗は、この規制により売り上げが大きく落ち込んでいる。ある韓国料理店の従業員は「平日でも外国人観光客が多いが、今はほとんど来ない」と話し、別のサムゲタン専門店の店主は「売り上げが普段の10%にも満たない」と肩を落とした。
規制が2月中旬まで続くとの報道に、店主らは「賠償を請求したい」との声を上げている。憲法裁判所は2月4日、6日、11日、13日にも弁論期日を設定しており、ユン大統領はすべて出席する意向を示している。
警察は「一般市民の通行は原則として可能」としているが、現場では市民の通行が実際には制限される事例が多発している。警察関係者は「市民を装った集会参加者を防ぐための措置」と説明しているが、過剰な規制との批判もある。
法律上、警護区域での出入り制限は「警護目的上やむを得ない場合」に限定されるべきだが、今回の規制がその範囲を超えているとの指摘も出ている。
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