韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が、第75回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞した俳優ソン・ガンホに送った祝電をめぐって、ネット上で論争が繰り広げられている。
ユン大統領は先月29日、ソン・ガンホに祝電を送り、「今回の受賞は『シークレット・サンシャイン(密陽)』『渇き(コウモリ)』『パラサイト~半地下の家族』などの映画でソン・ガンホさまが築いてこられた深みのある演技力が開花した結果」と激励した。
これに対し、革新系野党「共に民主党」支持者と思われるネットユーザーは「『弁護人』『タクシー運転手』は進歩的な内容の映画だから外したのか?」などの反応を示した。
「弁護人」(2013年)は、故ノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領が弁護士時代に関わった釜林(プリム)事件を題材にした映画で累積観客数1137万人を記録。「タクシー運転手」(2017年)は1980年の光州事件を扱った作品で、1218万人の観客を動員した。
一方で、ユン大統領が祝電で言及した映画は「すべてカンヌ国際映画祭で受賞した作品だ」という意見も出ている。
「シークレット・サンシャイン(密陽)」は2007年、カンヌ映画祭のコンペティション部門に招待され、ソン・ガンホとともに主演俳優を務めた俳優チョン・ドヨンがカンヌ主演女優賞を受賞した。「渇き(コウモリ)」は、2009年にカンヌ映画祭で審査員賞を受賞、「パラサイト~半地下の家族」は2019年、カンヌ映画祭パルムドール賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー映画賞を席巻している。
このため、ネットユーザーの中には「カンヌ映画祭で賞を取った作品を大統領が挙げたのだろう」などと指摘している。
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