韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の逮捕期限が約10時間後に迫る中、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は拘束令状請求準備の最終段階に入った。
ユン大統領が初回取り調べで黙秘権を行使したうえに追加取り調べを拒否したため、公捜処は事実上「白紙」に近い供述調書を裁判所に提出せざるを得なくなった。このため、キム・ヨンヒョン(金龍顕)前国防相ら戒厳令事件に関与した軍高官たちの検察による容疑者尋問調書が、ユン大統領の逮捕可否判断における「スモーキングガン(決定的証拠)」になりそうだ。
◇拘束令状、17日夜に西部地裁に請求有力
公捜処は遅くとも17日夜、ユン大統領に対する拘束令状をソウル西部地裁に請求する方針だ。これは、ソウル西部地裁が発布した逮捕状の有効期限が同日午後9時5分に満了する点を考慮したもの。公捜処関係者は「逮捕状を発布したソウル西部地裁に(拘束令状を)請求するのが最も可能性が高い。ほぼ最終段階にある」と述べた。
公捜処は拘束令状請求とともに、15日に10時間40分余り進められたユン大統領に対するA4用紙200ページ分の容疑者尋問調書を提出する見通しだ。
ただ、この調書は、ユン大統領が黙秘権を行使して事実上取り調べを拒否したため、検察官の質問のみが記録され、実質的に「白紙」に近い状態となっている。
それでも、容疑を立証する追加証拠などの捜査記録が充実している場合、拘束令状請求に支障はないとの見方が捜査関係者の間で一致している。
特別捜査経験が豊富なある検察関係者は「大統領が供述を拒否したとしても、公捜処の質問書が捜査記録にまとめられている。裁判所は戒厳令の過程で大統領と連絡を取った人物の供述調書などを重点的に確認するだろう」との見解を示した。
◇公捜処、軍高官の供述調書を確保
公捜処は令状審査の過程で、非常戒厳に関与したキム・ヨンヒョン氏ら軍高官の供述をもとに、ユン大統領の内乱首謀および職権乱用容疑の立証に注力する。
公捜処は先月28日、検察の非常戒厳特別捜査本部からキム・ヨンヒョン氏に対する400ページ分の容疑者尋問調書を確保し、ユン大統領の取り調べおよび拘束令状請求準備を整えた。
キム・ヨンヒョン氏はユン大統領とともに戒厳令布告文を議論し、内乱を共謀したほか、戒厳令発布前後に軍首脳部に対し、国会や中央選挙管理委員会への兵力投入を指示した核心人物とされている。
さらに公捜処は既に、検察から計1000ページに及ぶ軍高官5人(パク・アンス元陸軍参謀総長やヨ・インヒョン元国軍防諜司令官ら)の容疑者尋問調書を確保した。
こうした起訴状には、ユン大統領がどのように指示したかが詳細に記載されており、「ユン大統領の起訴状」とも評価されている。裁判所がこれをもとに容疑を認めて関係者の拘束令状を発付した経緯から、ユン大統領の内乱容疑を大部分、立証できる可能性が高いとの見方が法曹界で広がっている。
また、「非常戒厳」当時、国会を統制した容疑を受けている警察庁のチョ・ジホ長官とソウル警察庁のキム・ボンソク長官に対する警察非常戒厳特別捜査団の取り調べ内容も考慮されるとみられる。
これらの人物は全員、内乱重要任務従事容疑で拘束令状が発付されて裁判にかけられ、ソウル中央地裁と中央地域軍事裁判所の判断を受ける。
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