先月21日に首脳会談を開いた韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領とバイデン米大統領は、国政哲学だけでなく、個人的な経験を長い時間分かち合い、深い信頼関係を築いていたことが、このほど明らかになった。
首脳会談は少人数、単独、拡大会談の順で進められた。少人数数会談と単独歓談は当初の計画の2倍以上長く続いた。出席者が少なく、率直な話を交わすのに適した小人数会談と単独歓談時の間を増やし、信頼を固めたものと分析される。
韓国大統領室は両首脳が普遍的価値に対する個人的な経験と考えを共有し、「相性」が良かったと評価している。
大統領室によると、両首脳はペットや家族など相互の関心事について深い話を交わしたという。両首脳とも、保護所から捨て犬を引き取って育てるほどの愛犬家だ。
韓国国家安保室のキム・ソンハン(金聖漢)室長は首脳会談終了後、龍山(ヨンサン)庁舎で記者団に「雰囲気は全般的に始終一貫、和気あいあいとして非常に友好的だった。韓米同盟に対する堅固な信念と哲学を土台に、当初予定された時間をはるかに越えて深みのある対話を交わした」と強調している。
◇「相性が良い」
「3+3」での少人数会談は21日午後1時32分から2時44分まで1時間12分間、開かれた。
韓国大統領室の予定進行時間は当初、30分だったが、その倍以上になった計算だ。両首脳のほか、韓国側ではキム室長とパク・ジン(朴振)外相が、米国側ではサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)とクリテンブリンク国務次官補(東アジア太平洋担当)が同席した。
少人数会談で両首脳は並んで足を組んで座り、リラックスした姿で対話を交わした。少人数会談が大幅に長くなった理由について、キム室長は「自由民主主義の価値に対する両首脳の共感が、思ったより非常に広がったと感じたようだ」と見立てたうえ、次のように解説した。
「自由民主主義を守っていくことがどれほど大切なプロセスなのか、個人的な経験や政治に登場した背景などを互いに共有するのに相当な時間が割かれた。よく言われる『相性』というものは、その部分に関しては、とてもよく合う関係だ。話題を変えることが難しい状況だった」
両首脳は、少人数会談を終えた後、午後2時44分から3時9分までの25分間、通訳のみの単独歓談(ティータイム)に入った。大統領室の発表では「約5分間の親交時間」になる予定だったが、これも大きく上回った。
その後、当初は「経済安全保障」を50分間集中的に議論する計画の「拡大首脳会談」(米韓各12人参加)は、実際は16分(午後3時9~25分)で終わった。両首脳は既に、技術同盟、経済安保同盟に対する合意を大部分で終えていた状態だったため、次に控えた共同記者会見の時間を考慮して短時間で終わらせたようだ。
以上の通り、同日の首脳会談には計1時間53分が費やされた。当初の予想(1時間30分)よりは23分長かった。
◇安保・経済安保を密に
両首脳は会談で信頼関係を築いたとみられ、今後は安全保障・経済安全保障の分野でさらに緊密な関係を維持するとみられる。
先月22日には、ともに韓国航空宇宙作戦本部(KAOC)を訪問し、両国の連合作戦指揮官の作戦現況の報告を受けた。ユン大統領は米国が主導するインド太平洋経済枠組み(IPEF)の首脳会議に画像で参加することにした。
ただ、大統領室は、このような動きが中国を排除するものではないと繰り返し強調した。
ワン・ユンジョン(王允鍾)経済安保秘書官は「両首脳の全体(共同声明)条項(Statement)に中国をサプライチェーンから排除するということは一行もない」と指摘したうえ「両者とも特定の国家を排除するよりは、相互補完的に国家間サプライチェーンの安定をもたらす議論に焦点を合わせている」との認識を前面に押し出した。
王秘書官は「地域的な包括的経済連携(RCEP)に入っていれば中国が怒らず、IPEFに入れば中国が怒るという二分法的な接近は避けてほしい」と求めたうえ「中国も私が見る限り、そのように考えないだろう。非常に複雑な相互依存的な時代に生きているため、ゼロサム的な区分は現実的に不可能だ」と訴えた。
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