2025 年 7月 2日 (水)
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小さくて強力…韓国型「ロボットハンド」の主導権をめぐる激しい競争

Wonik Roboticsのロボットハンド(c)KOREA WAVE

韓国内外のロボット業界がロボットハンドの研究に没頭している。人の手のように小さなサイズで十分な出力を出せるよう、最適化設計に力を入れている。Wonik Roboticsをはじめとする国内の主要ロボット開発企業がハンドの開発に乗り出している。協働ロボットやヒューマノイドを製造する企業も関心を寄せている。

ロボットハンドは、ロボットが作業を遂行する上で最も重要な部品の一つとされている。協働ロボットやヒューマノイドなどの多関節ロボットの先端に取り付けて使用される。

ロボットの末端装置には主に吸着式やピンセット型の末端装置が使われてきたが、非定型の物体を扱ったり複雑な作業をこなしたりするには力不足だった。ロボットハンドはこうした高度な工程においても自動化の範囲を広げると期待されている。

ただ、駆動装置を小型化して指の関節にし、強い力を出すことは難題だった。作業対象を認識できる精密な入力装置の技術や、関節を精密に操作・制御することも課題として残っている。

Figure AIのヒューマノイドロボット「Figure 02」=Figure AI(c)KOREA WAVE

韓国内でロボットハンドを製造する代表的な企業はWonik Roboticsだ。Wonik Roboticsは2004年に設立されたWONIKグループのロボット・自動化系の系列会社で、2012年に最初の「アレグロ・ハンド(Allegro Hand)」を発売して以来、ロボットハンドの研究を続けてきた。

2024年にはMetaとも共同開発に着手した。Metaが開発中の視覚ベース触覚センサー「DIGIT 360」は、オンデバイスAIチップを搭載し、約18種類の周辺環境情報を把握できる。

Meta以外にも、世界のビッグテック企業が研究を進めており、NVIDIAやボストンダイナミクスのロボティクス・AI研究所(RAI)がWonik Roboticsの製品を活用している。

Wonik Roboticsはこれらの企業と共に、ロボットハンドで注射器を操作したりドライバーでネジを締めたりといったフィジカル・マニピュレーション技術や、ロボットハンド内で物体を自由に操作するインハンド・マニピュレーションの研究を進めている。

TESOLLOが「2024ロボワールド」で披露したロボットハンド「DG-5F」(c)KOREA WAVE

国内のスタートアップ各社もそれぞれ競争力を打ち出している。「TESOLLO」は「安価な手」に焦点を当て、商用化の基盤を固めている。従来の人型ロボットハンドは購入に最低でも数千万ウォンかかっていたが、それを数百万ウォン台にまで引き下げた。

TESOLLOは五本指の製品までラインアップを確保しており、製品の完成度を高めつつ価格を下げられるよう形状を改良する。市場を拡大し、大量生産段階へと発展させ、工場外のサービスロボットにもハンドを供給する構想を描いている。

AIDIN Roboticsが「2024ロボワールド」に出展した人型ロボットハンド(c)KOREA WAVE

ロボット用の力・トルクセンサーを製造する「AIDIN Robotics」は、自社製センサーを内蔵した「人型ロボットハンド」の試作品を製作した。最大15kgの重さを持ち上げることができる。力センサーを組み合わせることで、果物など損傷しやすい物体も高い信頼性で扱えるのが特徴だ。

ロボット義手のスタートアップ「Mand.ro」は、指の各関節にモーターを組み込む方式を考案中だ。既存の製品よりも安価で、ニーズに合わせたカスタム製作が可能になると期待されている。現在、ソフトウェアと機構の改良作業が進められている。

MAND.ROが「NextRise 2025」で披露したロボットハンド(c)KOREA WAVE

複雑なロボットハンドをうまく活用すること自体も研究の対象となっている。REALWORLDはロボティクス・ファウンデーション・モデル(RFM)の開発を目指し、ウェアラブルロボット企業「WIROBOTICS」とともにハードウェアの研究にも取り組んでいる。

REALWORLDのリュ・ジュンヒ代表は「五本指の手でなければ、工場の自動化に必要な作業の半分は対応できない。産業現場ではハンドが必須であり、それを制御できる人工知能(AI)技術を開発する必要があるという結論に至った」と述べた。

(c)KOREA WAVE

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