「自宅に帰り、いすに座ると、宇宙産業に対する考えがたくさん浮かんでくる。宇宙航空庁の設置は科学技術情報通信省でうまくやっているのか、龍山(ヨンサン)では首席と秘書官が同省で進められていることを注視し、支援しているのだろうか。いつも気持ちが落ち着かない」
韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領が今年2月、ソウル龍山大統領室であった「夢と挑戦のニュー・スペース時代、宇宙経済開拓者との対話」行事で、韓国の宇宙経済を先導する40人余りの参加者に語った言葉だ。大統領はまさに、寝ても覚めても宇宙経済について考えているようだ。
龍山大統領室の参謀らと科学技術情報通信省の関係者らは口をそろえて、次のように語る。
「ユン大統領は宇宙開発に本気だ」
ある大統領室高官は「大統領はもともと宇宙に関心が高い。アポロ11号がいつ月に着陸したのか日付も正確に覚えていらっしゃる。アポロ11号を見て数学を熱心に勉強したそうです」と明かす。
1969年にアポロ11号が月面着陸した当時、ユン大統領は小学3年生だった。
◇「幼いころから数学が好き」
検察総長を務めた法曹界出身のユン大統領は、幼いころから数学が好きで、科学にも関心が高かったという。
ただ、大統領は個人的な興味で宇宙経済に力を入れるわけではない。
量子技術や人工知能(AI)と同様、宇宙経済は韓国を変える「ゲームチェンジャー」とみているからだ。グローバル技術覇権競争がさらに進めば、安全保障とも直結する問題と考えている。
ユン大統領は、大統領候補時代から航空宇宙庁設立を公約してきた。
その後、名称を変えて宇宙航空庁設立がユン政権の110大国政課題の中に含まれた。宇宙航空政策を樹立し、研究開発と技術確保を主導する政府機関を別途、新設する方針だ。
ユン大統領は就任後もこの1年間、宇宙と関連した多様な日程を消化した。昨年6月には、韓国型ロケット「ヌリ号」の打ち上げ成功場面を龍山大統領室でリアルタイムで観覧し、関係者に次のように語っていた。
「韓国の地から宇宙に向かう道が開かれた」
(おわり)
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