2025 年 7月 18日 (金)
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密室から広場へ…李在明大統領の“聞く政治”が問う国のかたち [韓国記者コラム]

タウンホールミーティングで発言するイ・ジェミョン(李在明)大統領(c)news1

「国民が主人で、大統領は“大きな下働き人”でしかない」

そう語るのは、実用主義的思考と果敢な行動を組み合わせたリーダーシップで知られる韓国のイ・ジェミョン(李在明)大統領だ。公職者を「公僕」と定義し、討論や対話を好む姿勢は、国民には爽快感を、側近たちには“過労”を与えるとされる。

就任からわずか1カ月余りの間に、大統領は2度のタウンホールミーティングを実施。非公開の防衛産業界との懇談や就任30日記者会見も含め、「国民との対話」に真摯な姿勢を示してきた。

そのざっくばらんで庶民的な行動スタイルは、過去の権威的な大統領像と対照的で、好感を持たれやすい。身近に寄り添い、言葉を交わそうとする大統領を好まない国民はほとんどいないだろう。

しかし、こうした「ソトン(疎通)」=コミュニケーションの形式については、評価が分かれるのも事実だ。象徴的なのが、7月4日に大田で開かれたタウンホールミーティングだ。

この場では、事前選考なしに一般市民に即時参加を認めるという大胆な形式を採用。意図は善意だったが、警備面や対話の質という点では課題も残した。会場では個人的な借金、待遇改善、行政苦情などが次々と噴出し、大統領自身も「これが本当に価値ある行動か疑問を感じるかもしれない」と苦笑する場面もあった。

公職者の1時間は国民5200万人の1時間分に等しい――イ・ジェミョン大統領が繰り返し強調してきた言葉だ。

高級官僚に囲まれた密室の指導者より、国民の声に耳を傾けるリーダーの方がはるかに望ましいのは言うまでもない。しかし、すべての国民の声を一人で受け止めることは不可能でもある。だからこそ、その1時間がいかに意味あるものとなるかが問われる。

新しいスタイルの政治には試行錯誤がつきものだ。ただ、その改善作業が遅れてはならない。イ・ジェミョン大統領の1時間が「国民5200万人の時間」を代表するにふさわしい価値を持つよう、“対話型国家運営システム”の早期定着が求められている。

すべての声を公平に聴きながら、行政府の長としての責任と重みも適切に分配する。今、求められているのは、そうしたバランス感覚と発想の転換である。【news1 シム・オンギ記者】

(c)news1

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