2025 年 4月 21日 (月)
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実態把握が進まない「13歳未満の小学生」 [KWレポート] 死角地帯の韓国ヤングケアラー (3)

(c)MONEYTODAY

ヤングケアラーたちは、一般の若者よりも生活の満足度が低く、憂うつ感が強い。将来設計をする際にも困難を感じている。

ソウル市の調査では、ヤングケアラーが「生活に不満」(32.5%)という回答は「満足している」(28.2%)よりも4ポイント高い。韓国保健福祉省の調査でもヤングケアラーが生活に不満だという回答は22.2%で、一般青年(10%)の2倍以上だった。

今回の調査で、ヤングケアラーが置かれた状況はある程度、把握されるようになったが、十分とは言えない。

まず、満13歳未満の小学生は、一連の調査対象からは外されている。

全体に占める割合は高くないが、国が率先してケアをする必要がある層と言える。

児童福祉を手掛ける「緑の傘子ども財団」が昨年、満7~24歳の児童・青少年を調査した。対象は調査時点までの1年間に財団から経済的支援を受けた人だ。

回答者のうち46%がヤングケアラーで、そのうち23%が小学生だった。半数以上(59%)はひとり親の家庭で、学習や進路進学、経済活動で困難に直面しながら、家族の世話役という負担も抱えていた。

年齢が幼いほど、心理的・情緒的な困難を訴えるという傾向もわかった。

◇遅れる政策・システム準備

ヤングケアラーの存在が明らかになる一方で、韓国政府による関連政策とシステム準備などが遅れているという指摘が出ている。

「大邱青年介護人事件」が発生して2年が経つのに、実態把握をようやく終えたばかりで、取り組みが進んでいない。

それでも自治体レベルでは、2021年から先制的に支援策を整備したところがある。ソウル市西大門(ソデムン)区だ。

「ケアSOSセンター」を運営し、ヤングケアラーにオーダーメード型ケアサービスを提供しているほか、必要に応じて家事・介護訪問サービスなども実施中だ。

◇法整備で総合的な支援体制

国会では現在、ヤングケアラー支援や関連機構設置などの根拠が盛り込まれた法案3件が発議されている。だが、すべて審議中になっている。

今年3月、「家族世話児童・青少年・青年支援法」を代表で発議した、野党「共に民主党」のソ・ヨンソク議員は次のように促す。

「事件が議論になった当時、大統領候補たちも、ヤングケアラーへの国の支援を強化するという公約を掲げた。しかし、まだ正確にどれだけのヤングケアラーが存在するのかすら把握できていない。彼らに対する総合的な支援体制を整えるためにも、国会で1日も早く、法案を通過させなければならない」

専門家らは、従来の福祉システムを活用するだけでも、ヤングケアラーを助けることができるとみている。

ソウル女子大学社会福祉学科のチョン・ジェフン教授(韓国家族社会福祉学会会長)の指摘はこうだ。

「老人長期療養保険など既存のサービス体系を改善し、看病支援などをすべきだ。同時に青年という特性に合わせて、就職・学業などに対する支援も必要だ。情報が届かずに支援を受けられていない児童・青年たちに向け、ポータルサイトや相談システムを構築することも重要だ」

(つづく)

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