天下のBTSと、HYBE(ハイブ)のパン・シヒョク議長ですら、K-POPの成長主義に縛られた。BTSのグループ活動の一時中断に関連してさまざまな背景が語られている。そのなかでも、業界関係者の多くは「K-POPに内在する構造的問題」を指摘している。
◇新鮮な存在
BTSリーダーRMは14日、YouTubeチャンネル「BANGTAN TV」で「K-POPというのもそうだし、アイドルというシステム自体が人を成熟させていないようだ」と話した。「ずっと何かを撮らないといけないし、ずっと何かをしないといけないから」とも指摘した。
BTSはそれまでのK-POPグループと性格が異なる点を高く評価され、世界的なグループになった。
米国の権威ある音楽雑誌「ローリングストーン」は2018年、BTSが世界的に急浮上した際、「BTSはいかにしてK-POPの巨大なタブーを破ったのか」というタイトルの分析記事を掲載した。そのなかには、多くのK-POPアイドルグループが“安全の保証された成功公式”に従うのに対し、BTSはこれを破る行動を取り続けてきた、という見解が記されている。
他のアイドルとは異なり、事件・事故に関与していないという模範的な姿を見せる一方で、歌を作る時は批評的な視線を持ち続けている、という点をBTSの特徴に挙げた。どのアイドルグループも同じ「K-POP機械」と批判していた評論家や音楽ファンにとって、BTSの存在は新鮮だった。
◇「作家主義イメージ」
HYBEは「アーティストにやさしい会社」として知られている。
HYBEアメリカのユン・ソクジュンCEOが2020年、米ハーバードビジネススクールオンライン講義に特別ゲストとして参加した際、同校の学生たちは「Big Hit Entertainment」(現HYBE)と他社の違いとして、アーティストにやさしい契約条件、アーティストの自律性尊重、会社とアーティストの合理的な力のバランス――などを挙げた。
昨年、米経済専門メディア「Fast Company」が、HYBEをMicrosoftやスペースXなどとともに「2022年の世界で最も革新的な50大企業」に選定した際も、HYBEが新型コロナウイルス感染のパンデミック期間中にBTSの「21世紀ポップアイコン」として位置を強固にするため、支援を繰り広げてきた点を高く評価した。
パン・シヒョク議長はソウル大美学科卒業。「作家主義イメージ」を打ち出し、K-POPアイドルグループ会社に知的で自律的なイメージを与えてきた。
◇自律性を保てず
しかし、「Big Hit Entertainment」は2020年10月の上場以来、会社規模が急激に拡大し、BTSとパン議長が主導して活動計画を立てられなくなった。多様な利害関係がかみ合って、彼らに注がれる視線が多くなり、自律性が保てなくなったのだ。
さらに、K-POPに莫大な資本が投入された。短時間での成長主義が激化して企業間の競争も激しくなり、HYBEやBTSもこれに集中せざるを得なかった。また、世界を席巻したK-POPは、あたかも「国家基幹産業」のように扱われ始めた。
BTSやHYBEはその主役となり、国家代表となり、休む暇もなかった。
今年デビュー9周年をむかえたBTSメンバーはこの間、長期休暇を2回過ごしただけ。音楽・芸能コンテンツなどを絶えず吐き出し、自分たちを消耗させる必要があった。RMは「自分が成長する時間がない」と吐露している。
活動を一時中断し、「チャプター1」を整理する理由は十分だった。活動を総括する新しいアルバム「Proof」を比較的早い時期に出したのもそのためと説明できる。
◇BTSの活動空白はHYBEの危機
また、BTSが早い段階で多くのスケジュールを消化しなければならなかった理由の一つは、軍入隊問題とも絡んでいる。
兵役特例制度が画期的に改善されない限り、BTSメンバーの軍入隊の手続きが進む。これによるBTSの活動の空白はHYBEの危機に直結する。
HYBEは上場後、BTSに代わるラインナップを構成するため、SEVENTEENの所属事務所プレディス・エンターテインメントなどの買収合併に注力した。
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