
大韓航空や済州航空をはじめとする韓国の航空会社が新型機を次々と導入し、保有機材の近代化に拍車をかけている。これは、航空機の納期遅延で世界中の航空会社が苦しんできた中、米ボーイング社の製造速度が改善されたことが背景にある。
国土交通省の航空技術情報システム(ATIS)によると、大韓航空は2025年に入ってからすでにボーイング社製の新型機を7機導入しており、これは前年導入数(6機)を上回っている。機種別にはB737-8が1機、B787-9が1機、B787-10が5機で、年末までにさらに15機の追加導入が予定されている。
大韓航空がB737-8を導入したのは、2022年8月以来、約2年5カ月ぶり。同機は2015年に30機の購入契約を結んでいたが、納入は遅れていた。
一方、昨年新規導入がなかった格安航空会社の済州航空は今年に入りボーイング製B737-8を4機導入。2023年11月に1・2号機が到着し、2025年1月には3号機、5月以降は毎月1機ずつのペースで引き渡されており、年末までにさらに2機が加わる。
エアプレミアはB787-9型機のみで運航しており、今年は2機を追加導入。年内には計9機体制にする方針だ。ティーウェイ航空もB737-8を2機、B777-300ERを1機導入した。
ボーイング社の2025年第2四半期(4~6月)の商業用航空機引き渡し数は前年同期比63%増の150機で、2018年以来最多となった。
ただ、ボーイングはこれまで生産工程で大きな混乱を経験してきた。新型コロナウイルスの流行による需要減退で従業員約3万人を解雇し、その後の再雇用が進まず、経験の浅い人材による組立で品質問題が発生。B737-9は2023年8月に製造された機体がボルト未装着のまま出荷され、2024年1月に米オレゴン州上空で機体一部が破損する事故が起きた。
この事故を受け、米連邦航空局(FAA)はB737シリーズの月間生産上限を38機とし、超過する場合は事前承認が必要とした。また、2023年秋の7週間にわたるストライキで主要工場が停止し、同年の引き渡し実績は前年(528機)から33.7%も減少した。
しかし今年に入り、安全性と品質を強化する生産工程が現場に定着し、製造速度が持ち直しつつある。
航空業界関係者は「完全な正常化にはまだ時間がかかるが、最悪の時期は脱した。韓国の航空会社も今年はボーイング機中心に新機材の導入が順調で、新路線の開設や既存路線の増便などに積極的に乗り出している」と述べた。
(c)news1