2025 年 5月 10日 (土)
ホームエンターテインメント“大衆感情法”が裁く“罪”…韓国で繰り返される「芸能人自殺」の共通点

“大衆感情法”が裁く“罪”…韓国で繰り返される「芸能人自殺」の共通点

飲酒運転事故の一審判決公判を終えた俳優キム・セロンさん(c)NEWSIS

俳優イ・ソンギュンさんやキム・セロンさんら、韓国芸能界で相次ぐ自殺について、専門家が深刻な懸念を示している。

西江大学コミュニケーション学部のユ・ヒョンジェ教授は17日放送のYTNラジオ「オープンラジオYTN」に出演し、「今週もまた韓国芸能界に衝撃的なニュースが届いた。歌手フィソンさんがコンサートを控えてこの世を去った。詳細な死因は明らかになっていないが、人気歌手だっただけに衝撃が大きい。少し前には俳優キム・セロンさんの訃報もあった。韓国芸能界で繰り返される悲劇だ」と語った。

ユ・ヒョンジェ氏によると、近年の芸能人の死には、ある「共通したパターン」が存在しており、「それが非常に不安だ」(ユ・ヒョンジェ氏)という。

「たとえば昨年のイ・ソンギュンさんの事件もそうだが、何らかの事件が発生し、その後、司法的な判断が出る場合もあれば出ない場合もある。しかしその過程で、当事者は“悪い意味”でのスポットライトを浴び続ける。その間、主にYouTuberなどが情報を拡散し、過度な不安を煽り続ける。その結果、芸能人らは“居場所”を失い、職場を奪われるも同然の状況に追い込まれる。復帰の見込みは見えず、大衆から無差別な攻撃を受ける中で、自殺に至ってしまうケースが繰り返されている」

こうしたパターンが社会現象として定着してしまえば、韓国の高い自殺率はさらに維持され、悪化する恐れがある――ユ・ヒョンジェ氏はこう危機感を募らせた。

イ・ソンギュンさん、キム・セロンさん、フィソンさんは、いずれも大衆から激しい非難を浴びた。彼らの過ちはあったものの、それに対する大衆の“断罪”が厳しすぎる。特に芸能人に対する基準が異常に高いという指摘がある――。

これに対し、ユ・ヒョンジェ氏の見解はこうだ。

「まさにその通りだ。ある芸能人が『自粛期間の長さが決まっていたらいいのに』と語ったのを聞いたとき、非常に胸が痛んだ。芸能人はイメージで生きている存在だが、いわゆる“大衆感情法”が支配し、罪の重さや償いの期間について何の基準も定められていない。大衆は“非難する権利”を与えられたかのように、無責任な言葉を投げかけている。表現の自由だと主張するが、これは犯罪行為と紙一重だ」

個人情報が明かされないネット空間で、確認されていない事実をもとに個人を批判し続けることは、名誉毀損やその他の法違反に該当する場合もある。ユ・ヒョンジェ氏は「『芸能人だから』『公人だから』といった理由でそれを受け入れろというのは残酷であり、一部の大衆は卑劣だと言わざるを得ない」と批判する。

実名制を導入すれば状況は改善するという意見もあるが、憲法違反との理由から制度は撤回された。

今後、IT技術はさらに発展し、メディア文化は維持あるいは拡張されていくだろう。「その中で自浄努力がなければ、こうした悪循環は続く」。ユ・ヒョンジェ氏はこう警鐘を鳴らした。

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