
人口減少とレジャー志向の変化によって成長に陰りが見えていた韓国の大手スキー場が、海外市場に活路を見いだし始めた。雪が降らない国から訪れる観光客が、冷え込んだ国内市場を支える「救世主」となっている。
江原道洪川(ホンチョン)にある大型リゾート「ビバルディパーク」や、江原道平昌(ピョンチャン)の「モナ龍平(ヨンピョン)」などの施設は、単なるスキー場の運営から脱却し、祈祷室やハラールフードの導入などで体質改善を進めている。300万人台にまで落ち込んだ国内スキー市場の穴を「インバウンド(訪韓観光)」需要で埋め、収益構造の多様化を図る動きだ。
業界によると、主要スキー場では2025~26シーズン、外国人客数の増加が目立っている。特にソウルからのアクセスが良好なビバルディパークでは、今シーズンの外国人入場者が前年同期比で50%以上増加した。主な訪問客はシンガポール、台湾、香港などの中華圏や東南アジアからの観光客で、韓国人の入場者数がここ3年ほぼ横ばいだったのと対照的である。
モナ龍平は、訪問客数の増減よりも「質的成長」を遂げたといえる。2023~24年のエンデミック直後の需要急増に比べ、今シーズンは外国人客数がやや落ち着いたものの、売上高は前年より約20%増加した。リゾート滞在中に食事やレンタル、体験型商品などを複合的に利用する「高付加価値」の外国人観光客が増えたためだという。
江原道の人気リゾート、フェニックスパークもその恩恵を受けている。2024~25シーズンには外国人客が前年比70%も増加し、今シーズンもさらに10%成長している。ソウルから京春線(電鉄)で行ける江原道春川(チュンチョン)のエリシアン江村(カンチョン)も、外国人観光客によって盛況を見せており、昨シーズン約10万人を集めたのに続き、今年は過去最高の実績が見込まれている。
エリシアンの関係者は「韓国人の訪問が少ない平日昼間に、外国人団体観光客が稼働率を支えてくれている」と話す。
こうしたインバウンドの拡大は、スキー場の風景や収益モデルにも変化をもたらしている。滑ることに重点を置く韓国人客とは異なり、東南アジアからの観光客は「雪そのものの体験」に価値を見いだしている。
実際、モナ龍平の2025年12月における発旺山(パルワンサン)ケーブルカーの外国人乗客は約4300人に達し、月間で最高記録を更新した。ビバルディパークでは、スキーリフトよりも雪のテーマパーク「スノーウィランド」の方が外国人比率が高い。
スキー技術を必要とするスロープより、安全に雪を楽しめるそり遊びや観光用ゴンドラ、「インスタ映え」するフォトスポットの需要が高いためだ。業界関係者は「東南アジアの顧客の90%は初めて雪を見る初心者だ」とし、「リフト券だけでなく、衣類レンタルや初心者向け講習、観光用ゴンドラなど、ハードルの低い商品を拡充している」と説明する。
リゾート各社の受け入れ体制も進化している。かつてのようにスロープを貸し出すだけではなく、言語や宗教、食文化まで考慮したカスタマイズされたサービスを導入している。
ビバルディパークでは、ムスリム観光客が多いインドネシアやマレーシア市場を意識し、リゾート内に祈祷室を設置、ハラール対応メニューも提供している。
エリシアン江村では、15人の外国語対応インストラクターを常駐させ、言語の壁を取り除いているほか、初心者と中級者向けスロープを完全に分離して安全性を高めている。モナ龍平は、世界中のスキー場で使える「アイコン・パス(Ikon Pass)」を導入し、北米や欧州からのスキーヤー誘致にも力を入れている。
韓国スキー場経営協会によると、国内スキー場の利用者数は2011~12年シーズンに686万人でピークを迎えたが、現在では300万人台にまで減少した。
白石大学のオ・ジョンハク教授は「韓国人離れの背景には、スキー場が『高コスト・低効率』の旧態依然とした施設にとどまっていることがある」と指摘。その上で「生き残りのカギはコンテンツにある。単なる滑走から脱却し、XR(拡張現実)などの新技術を導入して、多様な体験ができる四季型複合施設へと変貌すべきだ」と提言している。
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