
「こんな時代だからこそ、どんな流行でもありがたい。できることはすべて試したい」。19日午前、ソウル市永登浦区の個人経営カフェで、店主はそう語った。ケーキが並ぶショーケースを指しながら「きょう用意したトバイもちもちクッキー(ドゥジョンク)は、午前中ですべて売り切れた」
ドゥジョンクが、景気低迷で苦しむ自営業者の呼吸を楽にする存在になりつつある。導入後に売り上げが2倍以上に伸びた店も珍しくない。
ドゥジョンクは、チョコレートとマシュマロを混ぜた弾力のある生地に、ピスタチオペーストと中東の細麺「カダイフ」を詰めた菓子だ。価格は1個5000~7000ウォン台が中心で、高いものは1万ウォンを超える。
昨年半ばから人気に火が付き、現在では人気芸能人やスターシェフも参入。菓子店にとどまらず、コンビニやフランチャイズ各社が相次いで類似商品を売り出し、大きなブームを形づくっている。
このカフェは、もともとドゥジョンクを扱っていなかった。常連客からの問い合わせをきっかけに製造販売を始めたところ、「昼以降が中心だった客足が、午前中から動くようになった」という。
近隣の別のカフェ経営者は「売り始めてから売り上げが120%以上伸び、初めて1日の売上高が700万ウォン(約77万円)を超えた。流行をつかむ重要性を実感した」と話す。
自営業者の間では、ドゥジョンクが宣伝手段であり、集客の入り口になっているとの声が多い。最近ではカフェだけでなく、クッパ店などが「ついで買い」用のメニューとして組み込む例も出てきた。
韓国料理のデリバリー専門店を営む人物は「本格販売ではなく宣伝目的で始めたが、集客効果は確かだ。最低注文金額があるため、他の商品と一緒に注文が増えた」と語る。
仕入れて販売するカフェの店主は「ドゥジョンク目当てで来店し、店を知ってもらえる。普段は来ない地域から探して来る人もいる」と手応えを語る一方、「利益は1000ウォンにも満たないが、流行で需要があるから置いている」と現実も明かす。
ただ、ブームの持続性を不安視する声もある。かつて外食業界を席巻したタンフルのように、短期間で熱が冷める可能性があるためだ。大手フランチャイズが相次いで参入したことで、個人店の競争力や採算悪化を懸念する向きもある。
カフェ経営者は「当面は売り上げの助けになるが、いつまで続くか分からない。流行で原材料費が上がっている点も重い。採算が保てる間までだろう」と話す。
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