2024 年 11月 30日 (土)
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在宅か出勤か…コロナ後の働き方で揺れるIT業界

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韓国IT業界が新型コロナウイルス感染の後遺症に苦しんでいる。全面的な在宅勤務が2年余り続き、これに慣れた職員が「永遠のフル在宅勤務」を要求しているからだ。人事担当者は勤怠管理システムの構築を急いでいるが、すでに在宅勤務の「味」をしめた職員らは監視されるのを強く拒否している。

◇「転職するなら在宅勤務が可能なところ」

業界関係者によると、「ネ・カ・ラ・ク・ペ」(ネイバー、カカオ、ライン、クーパン、ペミン)と呼ばれる主要IT企業は基本的に、新型コロナウイルス感染の時期に導入した全面在宅勤務を続けている。パンデミックの局面で一時的に導入した制度が、新型コロナの収束以後も続いている形だ。

一方、主要ゲーム会社は全員出勤方式に続々転換している。今年第1四半期の実績が低調だった「ネットマーブル(Net Marble)」や「パールアビス(Pearl Abyss)」などに限らず、比較的善戦した「NCソフト(NCSOFT)」「ネクソン(NEXON)」も同様だ。在宅勤務の時期に、遅れてしまった新作発売などに拍車をかけるための行動と分析される。

このように在宅勤務の方法が企業によって二分され、開発者らの就職先の選択基準も分かれている。

ある業界関係者は「フル在宅勤務を続ける企業はひとつのグループに分類され、他の企業とは区別される。どうせ転職するなら、在宅勤務が可能なところにしようという雰囲気だ」と伝えた。

カカオ代表のナムグン・フン氏(カカオ提供)©MONEYTODAY

◇「全展望監視システム」

人材流出を防ぐために全面的に在宅勤務を施行する企業は、勤怠管理方法に苦心している。IT開発者の場合は、チーム単位でのプロジェクトによる成果主義に基づく勤怠点検が可能だが、他の職種では日常的な勤怠を確認することが、出勤する勤務形態より難しくならざるを得ない。

カカオは、7月から業務時間に通話・チャットアプリ「Discord(ディスコード)」などを通じてチームのメンバーとつなぎ、午後1~5時を「コア勤務時間」とする新しい勤務制を導入しようとした。だが、内部から反発が起きた。

カカオブラインドでは新たな勤務体系に対して「2年ほど完璧に在宅で業務したのに、職員を信じていない。お互いを監視体制に組み入れる希代のパノプティコン(全展望監視システム)の勤務制だ」という批判まで出た。

これに対し、休暇中だったカカオのナムグン・フン代表が社内掲示板を通じて「集中勤務時間を再検討し、音声による意思疎通の可否をテストした後、組織別に投票して決める」と、鎮火に乗り出した。

◇業務効率を落とさない代案

在宅勤務の縮小の影響は、外国IT業界も同様に受けている。Appleは4月から全面在宅勤務を縮小し、週1回の出勤体制に切り替えた後、先月23日からは出勤日数を週3回に増やした。これに反発し、同社のマシンラーニング開発をリードしてきたスター開発者、イアン・グッドフェロー(Ian Goodfellow)氏がGoogleに転職したりもした。

グッドフェロー氏のほかにも、週3回出勤の方針に反発するApple社員は少なくない。米シリコンバレーでは、エンデミック以後も全面在宅勤務を継続するという企業が続々とあらわれ、在宅システムに慣れた開発者らの転職先はさらに広がる見通しだ。

ある業者の人事担当者は「特に勤怠チェックをしなくても成果が明確なチームならともかく、何の監視システムもない在宅勤務が、出勤勤務のような生産性を維持できるという保障がない」と指摘する。そのうえで「出・退勤時間の節減、自由な勤務環境など在宅勤務の長所を維持しながら、今は業務効率を落とさない代案を考えなければならない時だ」との認識を示している。

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