韓国の保守系野党「国民の力」のユン・ソンヨル(尹錫悦)氏が担う次期政権について、国政哲学を圧縮した核心キーワードに関心が集まっている。
ユン氏は大統領職引き継ぎ委員会を経て、5月10日に大統領に就任し、5年間、韓国の国政を運営する。ユン氏率いる次期政権の核心キーワードは「国民統合」「政治改革」「公正と常識」に整理される。
◇国民統合
ユン氏はまず「国民統合」に集中するものとみられる。選挙期間中、ユン氏は「統合」を強調してきた。「西進政策」(韓国の嶺南=慶尚道=の政治勢力が西側の湖南=全羅道=の政治勢力を抱き込む政策)を展開し、脆弱な国民である湖南を集中的に訪問、地域主義の打破とともに国民統合を強調した。
選挙序盤には「国民統合委員会」を設置し、全羅道(チョルラド)、反文(反・文在寅)進歩派の人士を迎え入れる試みもした。選挙終盤には中道野党「国民の党」のアン・チョルス(安哲秀)氏と「一本化」を果たし、「国民統合政府」を構成するという青写真も提示された。
選挙戦最終日、ユン氏は「最後のゴールを1位で通過できるよう圧倒的な支持をしてくれれば、より多くの国民の意見を大切にして国民統合を実現させる」と「統合」を強調した。
統合の政治は国政運営の動力確保のためにも重要だ。共に民主党が国会で180議席と圧倒的多数を持つ状況で、同党の協力なしに国政を運営することは容易ではないためだ。
◇政治改革
「政治改革」も主要課題だ。史上初の検察総長出身、1987年の改憲後、国会議員を務めていない最初の大統領、政界入門直後に「大統領に直行」したユン氏は、新人政治家として政治改革を強調してきた。
具体的には、大統領府の変化を予告した。ユン氏は選挙期間中に発表した「ユン・ソンヨル政権の国政運営計画」で「大統領の働き方を完全に変える」と宣言した。
当時の発表でユン氏は大統領室の運営方向を「主要国政懸案と未来創出」と規定して「精鋭化した参謀」と分野別「官民合同委員会」を中心に運営すると明らかにした。民間領域の集団的知性を通じて、国民の声を直ちに反映できる国政運営体系を作る計画だ。
大統領執務室は、大統領府ではなく光化門(クァンファムン)政府ソウル庁舎に設置し、大統領府の敷地は国民に返すという計画も発表された。
選挙期間中、終始「新人」である点を前面に出し、「政治的負債がない」と過去とは異なる政治を宣言した。ユン氏が果敢な政治改革を実現できるかどうかに関心が集まっている。
◇「公正と常識」
「公正と常識」もユン氏が選挙期間中に強調した主要メッセージだ。自分を検察総長に任命したムン・ジェイン(文在寅)政権の「内輪もめ」を批判し、大統領選候補に生まれ変わったユン氏は現政権を攻撃するメッセージとして「公正と常識」を活用してきた。
「月城原発の経済性操作疑惑」「青瓦台による蔚山市長選介入疑惑」「曺国(チョ・グク)元法相論争」などはユン氏が現政権と対立した代表的な事例だ。
自分が批判してきたムン政権の課題をどう扱うかで、ユン氏の苦心は深まるだろうという見方もある。
支持者らは現政権のこうした問題に対する審判を期待するが、ややもすると「国民統合」に障害になる可能性がある。ユン氏が「積弊清算」の可能性を言及すると、大きな論議が起こった経緯もある。
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