
韓国で国家レベルの人工知能(AI)戦略のコントロールタワーである「国家AI戦略委員会」が発足し、科学技術情報通信省は「AI高速道路」構築に向けた「国家AIコンピューティングセンター」推進方針を発表してセンター構築のための事業公募に着手する。これまで2度の公募が失敗に終わり停滞していたこの事業が、民間の参加拡大と条件の緩和を通じて再び推進されることで、業界の関心が再び高まる。
メガ・ニュース(MEGA News)のハン・ジョンホ記者の取材によると、政府はこの事業を通じて、2028年までに先端グラフィックス処理装置(GPU)を1万5000枚以上確保し、官民協力により2030年までに計5万枚以上を備える。このAIコンピューティングインフラを基盤に、AIモデルの開発とサービス提供を支えることを目指す。
2025年上半期に実施された第1・2次公募では、民間にとって不利な条件が障害となり、すべて不調に終わった。具体的には▽民間と政府が設立する特別目的会社(SPC)での公的持分51%固定▽センター清算時の企業による政府持分買い取り請求権(バイバック)▽2030年までに国産AI半導体を50%以上導入する義務――などが挙げられる。
これを受けて、政府は今回の推進方針において、民間の持分比率を70%以上に引き上げ、公的持分は30%未満に下げて経営の自律性を確保した。また、買い取り請求権を削除し、国産AI半導体導入義務も撤廃して、民間が自主的に支援策を提示できるようにした。その代わり、国策銀行は元本を優先的に回収できる優先株の形で参加し、初期投資リスクを分担することとした。
政府はまた、今回の方針に多くの政策的支援策も盛り込んだ。
まず、政府の財政事業でGPU資源が必要な場合、国家AIコンピューティングセンターの活用を優先的に検討することで初期需要を確保する方針だ。
さらに、統合投資税額控除率を従来の1~10%から最大25%まで拡大し、電力系統影響評価の迅速処理によって、企業のインフラ構築負担を軽減する。
また、環境に配慮した無炭素エネルギーを使用する場合には、評価で加点を与えるなど、持続可能性も重視した。
センターの構築方式と立地については、民間が提案する形とするが、地域均衡発展のために非首都圏に限定される。
サービスと料金体系も民間主導で運営されるが、大学・研究所・スタートアップなど産学研支援策を必ず含めなければならず、2027年以前の早期開所には加点が与えられる。
特に、国産AI半導体の活性化およびグローバル企業との協力は必須課題とされ、民間は実現可能な最適案を提示する必要があり、これが評価に反映される。政府は別途、今年2528億ウォン規模の国産AI半導体の研究開発(R&D)および実証・事業化予算を投入し、初期市場の活性化を支援する。
今回の事業者選定は、第1段階の技術・政策評価と第2段階の金融審査を経て進められる。コンソーシアムには必ずデータセンターおよびAIコンピューティングサービス企業が含まれる必要があり、複数のクラウド・通信会社によるコンソーシアムが優遇される。
事業の公募は9月8日から10月21日まで進められ、参加計画書は来月20〜21日に受け付けられる。科学技術情報通信省は、12月までに評価と金融審査を終え、2026年上半期にSPCを設立し、2028年までにセンターを開所することを目標としている。
(c)KOREA WAVE