北朝鮮を30年間、覗き込んだ専門家は、新型コロナウイルス感染により国境を閉鎖して統制した後も、なぜ北朝鮮が「自力更生」を叫びながら耐えることができたのか、その源泉が気になった。
これに対する研究を通じて、著者は「科学技術」を「キム・ジョンウン(金正恩)式自力更生」の源泉であり、けん引車だという答えを出した。「自力更生」は、先代指導者の時代にも有効だったが、キム・ジョンウン総書記時代の「自力更生」は、過去とは異なる方式で維持されているということだ。
慶南(キョンナム)大極東問題研究所のイム・ウルチュル特任教授の著書「キム・ジョンウン時代の自力更生――継承と変化」にはキム・ジョンウン式自力更生に関するイム教授の洞察が溶け込んでいる。
キム総書記は政権を担って10年だが、依然として若い指導者だ。先代から受け継いだ自力更生を自身の方法として解決するにあたり、核心的な鍵としたのが「科学技術」だ――イム教授はこう指摘する。
特に、北朝鮮が経済状況を画期的に改善できず、国防、軍需分野で持続的に先端の戦略戦術兵器を開発していることに注目した。
政権を担ったあと、キム総書記は国防工業の現代化、科学化を推進し、昨年から随時ミサイルを発射してきた。その姿が、まさに「キム・ジョンウン式自力更生」の姿を見せている部分だというのがイム教授の診断だ。
同書は、キム・ジョンウン時代の自力更生と先代の指導者、キム・イルソン(金日成)主席とキム・ジョンイル(金正日)総書記時代の自力更生を比較し、分析した。現在、北朝鮮の自力更生精神、戦略の志向の大半が科学技術に帰結するという学術的論拠も提示している。それゆえ、著者はキム・ジョンウン時代の未来も、科学技術の発展に直結すると主張する。
イム教授は1992年、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)に入り、北朝鮮経済・貿易調査業務を始めた。1996年には専門記者として活動し、平壌(ピョンヤン)や開城(ケソン)、新浦(シンポ)軽水炉など、北朝鮮各地を訪れ、多数の南北、米朝会談も取材した。
その後、慶南大極東問題研究所研究室長、2018年の南北首脳会談準備委員会民間諮問委員、統一省政策革新委員などを歴任した。現在、北朝鮮開発国際協力センター長、統一経済アカデミー主任教授を務めており、大統領府国家安保室政策諮問委員としても5年間活動している。
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