
名刺がないだけ。韓国の女性たちは、仕事してこなかったわけじゃない――こんな視点を前面に押し出したインタビュー集がこのほど、日本で翻訳出版された。
原書は韓国・京郷新聞のジェンダー企画班が手掛けた「私たちに名刺がないだけで仕事してこなかったわけじゃない ~韓国、女性たちの労働生活史」。家事や清掃、ボランティア、食堂経営などに従事した、名前も肩書きも記録されることのなかった女性たちの軌跡を伝えている。
取り上げられているのは主に50~70代。いずれも“正社員”ではない。ただ彼女らは何十年にもわたり、家族を養い、地域を支え、社会の基盤を築いてきた。表舞台に立つこともない。それでも「働いてきた」人生が確かにある。同書は、こうした女性たちの仕事を、インタビューと時代背景の分析を通じて浮かび上がらせる。
肩書きや雇用形態でしか労働を測らない社会の中では、名もなき女性たちの働きは可視化されてこなかった。それゆえ、同書は「名刺」に対する社会の見方にも一石を投じている。
邦訳は、翻訳家のすんみさんとユン・イギョン(尹怡景)さんが担った。8月22日には、2人を招いたトークイベントが東京・神保町にある韓国書籍専門書店「チェッコリ」で開催される。
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