10代が単純な薬物使用や、知人を通しての取引を越え、専門的な流通・販売組織に関与してしまうという――こんな悪循環が韓国で繰り返されている。
麻薬中毒になって費用をまかなえず、麻薬配達・流通係として働いたり、麻薬と性を交換したりしながら、より深い沼に陥るケースだ。
10代半ばから、致死性の高い合成ドラッグ「フェンタニル」中毒になったBさんは、10代後半に、他人の住民登録番号を盗用し、それを用いて処方されたフェンタニルを服用した。密売人からも薬を数十回買って使用し、一部を転売した――こうした罪により懲役5年を言い渡された。
韓国・水原(スウォン)地検は今月7日、麻薬類管理法違反罪などで、Bさんを含む21~17歳の麻薬流通組織の5人を起訴したと発表した。5人は今年3月、「エクスタシー(MDMA)」438錠、ケタミン256.12グラム、合成麻薬LSDを染み込ませた紙162枚などを所持し、販売しようとした罪が持たれている。
韓国政府が「麻薬との戦争」を宣言し、強力な取り締まりを表明しているが、処罰だけでは限界があるようだ。強い中毒性があるため、薬物依存度と再犯率が高い麻薬事件の特性上、治療・リハビリのためのインフラが整えられてこそ、繰り返される使用―検挙の悪循環を断ち切ることができるのだ。
韓国中毒精神医学会のイ・ヘグク理事長は「米国のように『薬物裁判所』を設置し、周期的に裁判所で麻薬事犯の治療を確認する制度も検討する必要がある」と述べている。
◇カフェで使用する10代
「最近、10代はフランチャイズカフェのトイレで麻薬を使っています。監督する者がいないコインカラオケも、子どもたちが麻薬を使う場所です。誰か1人が麻薬を手に入れたら、友達で集まって使用するんです。子どもたちはお金がない。1回に使用する量を友達と分け、“弱めに”使用する場合が多い」
ソウル市瑞草(ソチョ)区のある麻薬専門弁護士はこう明かした。最近、麻薬関連犯罪で弁護士事務所を訪れる10代の依頼人が増えているという。
10代を含む若年層の麻薬関連犯罪は急増している。最高検察庁の麻薬類月間動向によると、昨年検挙された10代麻薬類事犯は計481人に達する。捜査機関が認知していない実際の被害は30倍以上だという分析もある。
SNSを通じた暗号資産(仮想通貨)決済と、お互いに会わずに薬物をやりとりする手法が広がったのが一番大きな理由に挙げられる。こうした方法により、販売者と購買者の両者が摘発される確率が減り、麻薬の流通・使用の敷居が低くなっているということだ。
「5~6年前までは風俗店などで密かに流通していた麻薬が、最近はSNSを通じて隠密だが公然と取り引きされている。ソウルの予備校街で不特定多数の中・高校生に麻薬飲料を配り、子どもの麻薬使用事実を通報すると親を脅迫した事件のように、単純な使用・流通に限らず、麻薬を利用した関連犯罪が急速に増えている」
捜査当局のある関係者はこう吐露した。
(つづく)
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