2025 年 2月 11日 (火)
ホーム特集現場ルポ取り壊しが始まったソウルの性売買集結地「ミアリ」…労働者が抗議行動展開「安心して住める場所を」

取り壊しが始まったソウルの性売買集結地「ミアリ」…労働者が抗議行動展開「安心して住める場所を」

6日、城北区庁前で抗議活動を展開するミアリの労働者ら(c)news1

ソウル市が再開発のためにミアリテキサス村(城北区)の性売買集結地の取り壊しを進める中、現地の労働者らが移住対策を求めて抗議行動を展開した。支援条例はあるものの、予算が確保されておらず、実際の生活再建は困難な状況にある。

城北区庁前で6日、労働者らが「生存権と移住対策を求める集会」を開いた。60代のホン・ヒジョン(仮名)さんは、取材陣に帯状疱疹の痕を見せながら語った。

「クーパン(韓国の大手EC企業)で働こうと思ったけど、病気が多すぎてダメだった。糖尿病、高脂血症、喘息、椎間板ヘルニア…。半月前には帯状疱疹にもなった」

彼女はかつて居酒屋を経営していたが、店が潰れた後、ミアリに流れ着いた。そして30年以上にわたり働き続けている。19年前に脳出血で倒れた実姉の介護費用を稼ぐために月約500万ウォン(約55万円)を送っている。

「姉は倒れたショックで5歳の子どものようになったけど、それでも姉が生きていてくれるのが嬉しい。家族だから」

ホンさんは他の仕事を探そうとしたが、挑戦する機会すらなかったという。

隣で話を聞いていた別の労働者も「厨房の皿洗いのバイトをしようとしても経験者しか採用されない」と肩を落とした。

◇借金取り立て

この日、城北区庁前に集まった「ミアリ性労働者移住対策委員会」のメンバーらは「団結、闘争」と書かれた赤いハチマキを巻き、「取り壊される住民の生存権を保障せよ」と声を上げた。

厳しい寒さの中、彼女らは毛糸の帽子や防寒マスク、厚手のコートで体を包み、30代から60代までさまざまな年齢層の女性たちが参加した。

会場の一角には遺影が置かれていた。これは昨年9月、違法貸金業者による取り立てに苦しみ、幼い娘を残して命を絶った30代の労働者のものだった。貸金業者は彼女の娘が通う幼稚園にまで押しかけ、「母親の借金を返済しろ」と脅したとされる。

貸金業者は通常、労働者に金を貸す際、家族関係証明書を要求し、家族に取り立ての圧力をかけることで返済を強要する。労働者の多くが家族や知人に自身の仕事を隠しているため、このような脅しに屈せざるを得ないという。

同委員会のキム・スジン委員長は「この女性の死後も、いまだに貸金業者から借金の取り立て電話がかかってくる」と話し、ソウル市の対策が現実とかけ離れていると批判した。

ソウル市は女性の死が報じられると、違法貸金業者対策として「匿名で違法取り立てを相談できるカカオトークの専用窓口」を設置した。ただ、キム委員長は「悪意のある人が金を借りてから警察に通報し、取り立て被害をでっち上げることも可能だ」と指摘している。

城北区庁は、労働者への支援の必要性には共感しつつも、「正確な対象者数の把握が困難」として、実効的な対策を打ち出せていない。

2017年には「ソウル特別市城北区性売買予防および被害者自立支援条例」が制定され、労働者が業界を離れる場合、生計支援・住居移転費・職業訓練費を支給する仕組みが作られた。

しかし、実際には予算が確保されず、一度も適用された事例がないという。

◇暴走する若者たち

昨年12月から、再開発のための取り壊しが本格的に始まると、「暴走する若者たち」の問題が浮上した。

複数の労働者によると、最近、自転車やオートバイに乗った未成年者が、店舗周辺を荒々しく走り回る事件が発生しているという。

女性らに向かって汚い言葉を投げつけたり、物を投げたりして威嚇することもあった。ある女性は「私一人の時に、駐車場をぐるぐる回られると本当に怖い」と話し、別の女性も「鳥肌が立つ」と恐怖を語った。

キム委員長が未成年者に「ここに来るべきじゃない。家に帰りなさい」と言って注意したら、彼らは「俺たちは再開発組合のバイトだ」と言い返されたという。

現在、ミアリに残っている労働者は約100人と推定される。キム委員長自身も「この1カ月、何度も死を考えた。でも飼っている犬のために耐えた」と胸の内を明かした。

「社会のさまざまな問題の影に私たちの声が埋もれている。ミアリがなくなっても性売買は消えない。また別の陰の場所に流れ、さらに危険な環境で働くことになる。人は、部屋ひとつでも安心して過ごせる場所があれば、新しい道を選べる。職業訓練も大切だが、それは住居支援と一体でなければならない」

(c)news1

RELATED ARTICLES

Most Popular