半導体素材市場の主流と評価される直径300mmウエハーは、付加価値が高く、高級半導体に使われる。競争が激しいうえ参入障壁が高いため、シリコンウエハー世界最大手である信越化学(本社・東京)と大手のSUMCO(同)や、韓国のSKシルトロンなど少数の企業が世界シェアの90%以上を寡占している。
最近、SKシルトロンが信越化学、SUMCOといった日本勢との差を徐々に縮めている。
300mmウエハー市場では、世界トップの信越化学が2018年には32.5%だった市場シェアを2021年末には29.8%に下げている。2位のSUMCOも同期間で25.1%から24.8%に減少している。一方、3位のSKシルトロンは14.7%から18.1%にシェアを上げ、4位の独シルトロニック(14.1%)との差も広げている
◇SKシルトロン製にバイデン大統領が署名
バイデン米大統領が先月20日、サムスン電子の平沢(ピョンテク)半導体工場を訪れた際、芳名録の代わりに300㎜ウエハーに署名した。「バイデン大統領がいかに300㎜ウエハーを重視しているかよく示す場面」(半導体業界関係者)といわれる。
サムスン電子の3ナノ工程に投入されるウエハーは、日本企業とSKシルトロンが独占する。ただ、サムスン電子は昨年、ウエハーの最大調達先をSKシルトロンに変えた。業界関係者によると、バイデン大統領が署名した300㎜ウエハーもSKシルトロン製だそうだ。
300㎜ウエハー市場はその割合が増えつつある。
市場調査業者「オムディア(Omdia)」と「国際半導体装備協会(SEMI)」によると、第1四半期のシリコンウエハー出荷面積は、歴代最大の36億7900万平方インチで、前年同期より10%増。昨年1年間をみると、市場規模は129億ドルで、300㎜ウエハーの割合は71.7%に迫る。2023年には73.9%、2025年には75.5%に拡大する見通しだ。
300㎜ウエハーの需要が増え続ける一方、ウエハー材料であるシリコン価格の上昇傾向が続いている。業界関係者は、利益増大が期待されるウエハー市場を先取りすることが重要だと口をそろえる。
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