北朝鮮の朝鮮人民軍が23日、総参謀部の発表で、韓国軍が「拡声器挑発」をしたと主張した。これをめぐり、北朝鮮が局地的な挑発の名分づくりに乗り出したのではないかという観測が出ている。
朝鮮人民軍総参謀部は同日午前、黄海上で発生した北朝鮮船舶の韓国北方限界線(NLL)侵犯や軍の「西海緩衝区域」砲撃後の報道官発表で、「最近、地上戦線で砲射撃挑発と拡声器挑発に続き、海上侵犯挑発まで敢行している敵に再び厳重に警告する」と明らかにした。
韓国軍合同参謀本部によると、同日、北朝鮮商船(5000トン級)1隻が午前3時42分ごろ、黄海の白翎島(ペクリョンド)西北約27キロ地点から北方限界線(NLL)を越え、韓国側管轄水域に約3.3キロまで南下した。韓国海軍護衛艦が警告放送・射撃し、その約40分後の午前4時20分ごろNLL以北に戻っていった。
しかし、朝鮮人民軍は午前5時14分ごろから、黄海南道(ファンヘナムド)長山(チャンサン)岬一帯で海上緩衝区域内のNLL北方水域に向けて放射砲(多連装ロケット砲)10発を発射した。
軍総参謀部報道官の発表は「南朝鮮(韓国)傀儡海軍護衛艦がわが軍(北朝鮮軍)海上軍事境界線を2.5~5キロ侵犯し、対応措置を取るようにしたものだ」と主張した。
しかし、北朝鮮軍がこの日の発表で問題視した「対北朝鮮拡声器放送」は最近実施したことがないというのが韓国軍当局の説明だ。
韓国軍関係者は「最近、応急患者移送のため中部戦線地域にヘリコプターを投入し、監視警戒所(GP)内の対北朝鮮警告装備を通じてヘリコプター移動を知らせる放送をしたことがあるが、これは北朝鮮が主張した『対北朝鮮拡声器挑発』とは性格が違う」と述べた。
現在、軍当局は民間人出入統制線内の地域で応急患者が発生したり、山火事や該当地域に装備などを搬入する必要がある場合、北朝鮮にこうした事実を事前に知らせるために対北朝鮮警告装備などを利用しているという。
専門家の間では、北朝鮮が今後、武力挑発の規模と強度を高めるために、韓国軍による「拡声器挑発」をでっち上げた可能性が高いという分析が出ている。
21世紀軍事研究所のリュ・ソンヨプ専門研究委員は「過去にも、北朝鮮は局地戦または全面戦のレベルに脅威の水位を引き上げる際、韓国の拡声器を利用した対北朝鮮心理戦をその理由に挙げたことがある」と述べ、今回の総参謀部報道官の発表に注目する必要があると述べた。
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