2025 年 7月 25日 (金)
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北朝鮮産リンゴがロシアのスーパーに…軍事だけでなく「生活密着型協力」も拡大か

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北朝鮮産リンゴがロシアのスーパーマーケットに登場している。軍事・政治分野にとどまらず、食品などの「生活密着型」分野にまで北朝鮮とロシアの協力が広がっていることを示すものであり、両国は国際社会に対し「対北朝鮮制裁は無意味」との印象を与えようとしているとの見方が強まっている。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は20日、ロシア極東ハバロフスクの大手スーパー「レミ」の店頭に北朝鮮産リンゴが陳列され、1キログラムあたり169ルーブル(約318円)で販売されていると報じた。供給元は「ファングムサン」という名称の北朝鮮企業とされている。

また、ジャムやソーセージ、ビール、アコーディオンなどを製造する北朝鮮企業が、ロシア連邦知的財産庁に相次いで商標登録を申請していることも分かった。大同江(テドンガン)ビール工場も昨年、ロシアで自社ブランドの商標を登録していた。

このような動きは、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記とプーチン露大統領が「包括的・戦略的パートナー関係条約」を締結してから約1年が経過した現在、両国間の経済協力が目に見えて拡大していることを示している。

過去には、北朝鮮産製品がロシア市場に非公式に流通したり、ロシア企業との下請け契約などを通じて提供されたりしていた。北朝鮮は製品の輸出よりも、主に労働力の提供を通じて外貨を獲得する手法を取ってきた経緯がある。

こうした北朝鮮とロシアの密着ぶりは、事実上、国連安全保障理事会による対北朝鮮制裁の形骸化を印象付けようとする動きと見る向きが多い。国連安保理常任理事国として制裁決議の順守義務を負うロシアが北朝鮮と公然と協力することで、制裁の法的正当性や実効性は大きく損なわれているのが現状だ。実際、国連安保理決議2397号では、北朝鮮産の農水産物や食料品の輸入を禁じている。

しかし、こうした「生活密着型」まで含めた協力が北朝鮮経済に実質的な恩恵をもたらすかについては懐疑的な見方が支配的である。

北朝鮮経済に詳しい梨花女子大のパク・ウォンゴン教授は「北朝鮮の経済開発には市場と資本が必要だが、ロシアにはそれを提供する能力がない。リンゴの販売程度では、キム総書記が掲げる目標を実現できるほどの経済協力とは到底言えない。たとえ北朝鮮とロシアが制裁を無視しても、中国がこれに同調しない限り、北朝鮮経済に決定的な影響を与えることはないだろう」との見解を示した。

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