
北朝鮮で初めて登場したスマートウォッチに衛星利用測位システム(GPS)が搭載されているとの分析が示され、住民統制に活用される可能性が指摘されている。
米シンクタンク「スティムソン・センター」のマーティン・ウィリアムズ研究員が設立した専門メディア「NK TECHLAB」は12日、北朝鮮のスジョンチョン技術貿易会社が発表したスマートウォッチ「スジョンチョン5010」を入手・分析した結果を公表した。
同機種は2025年5月に開かれた平壌春季国際商品展覧会に出品されたとされる。報道によると、北朝鮮が初めて独自開発したSIMカード対応のスマートウォッチで、通話、メッセージ送信、音楽再生、位置測定、心拍数や血圧、血中酸素濃度、歩数の測定などの機能を備えるという。
一部では、リアルタイムの位置追跡が可能で、第三者が利用者の所在を把握できるとの見方も出ている。
これについてNK TECHLABは「正確に機能させるにはGPSや類似の衛星測位サービスが必要だが、北朝鮮の携帯電話の大半はGPS機能を備えていない点は興味深い」と指摘した。また、製造元は中国の電子企業である可能性が高いとしつつ、現時点で断定は難しいと分析している。
ウィリアムズ研究員は過去の報告書で、北朝鮮で販売されるスマートフォンは中国企業が生産し、北朝鮮側がOEM(相手先ブランドによる生産)方式で供給を受けていると分析している。設計から生産までを自国技術のみで担うのは困難との見方だ。
制裁や規制が続く中でも、若年層を中心にスマート機器への需要は拡大しているとみられる。ウィリアムズ研究員は、人口約2400万人のうち携帯電話加入者は650万~700万人に上るとの推計を示している。
スマートウォッチの普及は利便性向上につながる一方、当局の監視・統制手段として活用される可能性も否定できない。技術の進展が住民生活に与える影響と、体制維持との関係が今後の注目点となりそうだ。
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