
韓国統一省が、ウクライナで捕虜となった北朝鮮軍兵士の問題について沈黙を続けている。これまで脱北者や北朝鮮住民の人権問題に積極的に取り組み、「北朝鮮人権省」とまで呼ばれてきたことを考えると、意外な対応だ。
最近、ウクライナで生け捕りにされた北朝鮮軍捕虜の一部が韓国への亡命意思を示した際、これを人権問題として取り上げ、政府の対応を求めたのは統一省ではなく外務省だった。
外務省は「北朝鮮軍兵士は憲法上、我が国の国民であり、捕虜の送還に関しては個人の自由意思を尊重することが国際法および慣例に合致する。また、本人の意思に反して迫害の恐れがある国に送還されてはならない」との立場をウクライナ側に伝達した。
一方で、統一省の反応は「外務省が対応していると認識している」という短いもので終わった。
北朝鮮住民の人権向上を重視してきた統一省が、顔まで公開された北朝鮮軍捕虜の問題については、なぜ外務省に一任する形を取っているのか。統一省の関係者は「脱北者であっても海外に滞在している場合は、外務省が担当する」と説明している。
しかし、専門家やメディアは、こうした捕虜を「難民」または「脱北者」として扱い、早急に韓国へ送還すべきだと主張している。北朝鮮は彼らの参戦を認めず、「関与していない」との立場を取っているが、実際には捕虜となった兵士たちは韓国行きを望んでいるのではないか。
韓国政府の業務分担や手続きが決まっているにせよ、少なくとも統一省が人道的な観点から声明を出すことは可能だったはずで、そうすべきだった。
統一省は、2023年10月に中国国内の脱北者が大量に強制送還された際には「政府は、いかなる場合でも海外に滞在する脱北者が本人の意思に反して強制送還されるべきではないという立場であり、本人の意思に反する強制送還は、国際規範である『ノン・ルフールマン原則(強制送還禁止)』に違反する」と強く指摘していた。
この問題と、ウクライナで捕虜となった北朝鮮軍兵士の問題は、本質的に何が違うのか。統一省には、その答えを求めたい。【news1 チェ・ソマン記者】
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