
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の現地指導の様式が、住民への配慮や激励を前面に出す「愛民」型から、幹部を対象に即断即決で責任を問う「現場裁き」型へと大きく転じているとの分析が示された。
韓国・統一研究院北朝鮮研究室のパク・ウンジュ研究委員は27日、「キム・ジョンウン式・現地指導パターンの変化と政策的含意」と題する報告書で、「近年の現地指導は、従来の愛民・激励の枠組みを離れ、統治権力の序列を再確認し、政策失敗をその場で断罪する“現場裁き”へと急速に転換している」と指摘した。
報告書によると、キム総書記は2024年の水害復旧現場で非常政治局会議の招集後に幹部を更迭し、昨年初めには南浦市や慈江道での不正事件を「特大型犯罪」と規定した。今月の龍城機械連合企業所の竣工式では、機械工業部門を担う内閣副首相を現地で直ちに解任している。
パク・ウンジュ氏は「過去には、叱責や処分が党組織や司法機関を通じた事後の行政措置として下されるケースが多かった。最近は最高指導者が現場で直接人事権を発動し、現地指導を単なる激励の場ではなく“即決裁きの場”として機能させている」と分析。「視察する指導者の域を超え、現場で司法的・人事的判断を下す“裁く者”としての位相を強めている」と述べた。
こうした姿勢は、政権初期に打ち出された「人民に寄り添う指導者像」とは対照的だ。体制が厳しい局面に置かれる中、指導者が制度の背後に退くのではなく前面に立ち、処罰権を直接振るう「恐怖統治の回帰」と受け止める見方も出ている。
パク・ウンジュ氏は、キム総書記が現地指導で設備の仕様や工程段階、資材供給の非効率性まで踏み込んで指摘する点にも注目する。「戦略判断に誤りはなく、成果を阻むのは官僚の無能や怠慢だという論理を精緻化している」とし、「指導者が実務を把握しているという印象を植え付け、厳しい処分を“正当な懲罰”として受け入れさせる心理的装置が働いている」と説明した。
この演出は、官僚社会に「次は自分が裁かれるかもしれない」という危機感を内面化させ、統制力を高める狙いがあるとされる。第9回党大会を前に、制裁と資源不足で成果が見えにくい「地方発展20×10政策」の責任を、政策設計ではなく官僚層の執行不全へ転嫁する意図もにじむ。
一方で、パク・ウンジュ氏は、恐怖を動力とする現場政治が将来、▽官僚の消極的抵抗による行政実務の停滞▽情報の歪曲の深化▽官僚組織の政治的消耗品化▽体制結束力の低下――といった副作用を招く可能性があると警告している。
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