
新年に入り経済、民生、軍事分野をまたぐ「広範な現地指導」を展開してきた北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の公開活動が、ここ10日間ほどで目に見えて減少している。
特に、米国によるベネズエラのマドゥロ政権打倒(3日)や北朝鮮が主張する韓国発の無人機の領空侵犯(4日)を境に活動が急減しており、キム総書記の身辺安全を警戒した動きではないかとの観測が15日に浮上している。
北朝鮮の公式メディアで報じられたキム総書記の動向は、1月6日を最後に極端に減少した。元日から6日までの6日間は連日1面でキム総書記の活動が報じられたが、6日以降の公開活動は11日付の平壌・和盛地区第4段階建設現場視察の一度のみとなっている。
元日の紙面では、キム総書記が妻リ・ソルジュ(李雪主)や娘とともに新年祝賀行事に出席した様子が、2日にはキム一族の霊廟・錦繍山太陽宮殿を参拝した様子が報じられた。
3日には、新義州の温室農場建設現場を訪問し、青年や軍人の建設者を激励する姿が紹介された。4、5両日には、それぞれ軍需工場での兵器生産視察、極超音速ミサイルの発射訓練参観が報じられ、軍事分野でも精力的に動いていたことが分かる。
6日にはロシアに派兵された北朝鮮軍を記念する「戦闘偉勲記念館」建設現場を訪れ、娘とともにフォークリフトを運転し植樹する様子が掲載された。これまでにない動的な指導者像として注目を集めた。
こうした一連の活動は、2月に開催が予想される「朝鮮労働党第9回大会」を前に、各分野の成果を点検し、国民の結束を図る意図と見られていた。家族を前面に出す演出も、「国民に寄り添う働く指導者」というイメージ強化を狙ったものと分析されている。
しかし、ここにきてキム総書記の公開活動が急減した。その背景について、一部の専門家は米国によるマドゥロ大統領の電撃逮捕・送還事件との関連に注目している。
反米連帯を掲げ、北朝鮮と友好関係にあったベネズエラの指導者が米軍特殊部隊により排除された事例を見て、北朝鮮指導部が最高指導者の身辺警護体制の強化と公開日程の自粛に動いた可能性があるという。
実際、過去にも海外指導者が襲撃された際、北朝鮮はキム総書記の「影の警護」を強化してきた。たとえば2023年4月、日本で岸田文雄首相(当時)が爆弾による襲撃に遭った直後、北朝鮮のキム総書記の護衛部隊が防御用特殊バッグを携行して警備体制を強化した例がある。
加えて、1月4日に北朝鮮が韓国の無人機が領空を侵犯したと主張した点も見逃せない。北朝鮮側が、米国によるマドゥロ追放の翌日に無人機が飛来したことを、キム総書記への直接的脅威と見なした可能性がある。
韓国政府関係者によると、現時点でキム総書記の動向に明確な異常は見られないが、突然の公開活動の減少については注視しているという。
ただ、北朝鮮メディアの特性上、公開活動を後日まとめて報道する傾向や、党大会に集中するため一時的に活動を控えている可能性など、複数のシナリオが同時に検討されている。
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