
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が最近の最高人民会議の施政演説で韓国を「最も敵対的な国家」と規定した一方、関連する憲法改正内容を公表しなかったことについて、韓国の専門家の間で「冷たい平和」戦略に当たるとの分析が示された。
国家安保戦略研究院のキム・ビュボム研究委員は報告書で、キム総書記が過去5年間の「自力更生」や「核戦力強化」の成果に自信を示すとともに、米国に対しては非核化目標の放棄と敵視政策の撤回がなければ関係改善に応じない姿勢を改めて強調したと指摘した。韓国に対しても対話再開の可能性を否定したという。
その一方で、韓国を「敵対国家」と公式に位置づけたとしながらも、具体的な改憲内容を明らかにしなかったのは、不要な刺激を避けつつ将来的な関係改善の余地を残す意図があると分析されている。
こうした姿勢についてキム・ビュボム研究委員は、北朝鮮が短期的な協力意思は示さないものの、戦略的な曖昧さを維持しながら状況に応じて柔軟に対応できる余地を確保しているとし、これを「冷たい平和」と定義した。
また、北朝鮮が南北関係を従来の「民族内部の関係」ではなく「二つの国家の関係」と捉える姿勢を強めている点にも言及。こうした変化を踏まえ、韓国側も対北政策の見直しが必要になる可能性があると指摘した。
具体的には、南北協力を進める際に「民族」や「統一」といった表現をそのまま用いるのではなく、より中立的で含みを持たせた表現に言い換えることも一案だとしている。
キム・ビュボム研究委員は「南北関係を民族中心の枠組みから新たな関係へ再定義することは政治的・社会的負担が大きい」としつつも、「形式の調整が内容の進展につながる可能性がある」と指摘。その上で、こうした方針転換が原則の放棄ではなく、緊張管理のための選択であることを国民に十分説明する必要があると強調した。
さらに、こうした調整に北朝鮮が一定程度応じ、双方の間で暗黙の了解が形成されれば、現在の「冷たい平和」が将来的に関係改善へとつながる可能性もあるとした。
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