
北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記が、ロシアを支援するためウクライナ戦争に参戦した朝鮮人民軍の指揮官らを平壌の党中央委員会本部庁舎に呼び、国家表彰を授与した。さらに自らの執務室で“同席喫煙”を演出し、軍に対する最大級の厚遇と「タフな最高司令官」イメージを強調した。
党機関紙「労働新聞」は8月21日、キム総書記が20日に「国家表彰授与式に参加するため帰国した海外作戦部隊の主要指揮官らに会った」と報じた。表彰は「海外軍事作戦で不滅の功績を立てた」とされる将校・軍官・兵士らに与えられたもので、対象はロシアに派遣され、ウクライナ戦争に加わった派兵部隊の指揮官とみられる。
キム総書記は「クルスク奪還作戦」に投入された部隊の功績を高く評価し、「祖国は最も重大な任務を君たちと部隊に託した」と称賛したという。
労働新聞が公開した写真には、キム総書記の前にタバコ、灰皿、マッチが置かれ、両脇には軍指揮官らが座っている姿が写っている。喫煙する場面は映されなかったが、執務室内での喫煙を許可したことは明らかだ。北朝鮮で“最高尊厳”とされるキム総書記と同席でタバコを吸うことは極めて異例で、派兵軍への特別な礼遇を意味する。
キム総書記は過去にも大陸間弾道ミサイル(ICBM)や短距離弾道ミサイル(SRBM)の発射成功時に、軍指揮官らと共に“同席喫煙”する姿を公開してきた。今回の演出もまた、最高司令官が戦場の指揮官と同じ目線で行動していることを印象づけ、忠誠心と士気を高める狙いがあるとみられる。
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