2024 年 10月 22日 (火)
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北朝鮮・金正恩氏、先代超えた独裁者へ…急速に進む「単独偶像化」

朝鮮中央通信キャプチャー(c)MONEYTODAY

北朝鮮がキム・イルソン(金日成)主席やキム・ジョンイル(金正日)朝鮮労働党総書記時代の統一論を放棄し、主体年号を削除するなど「キム・ジョンウン(金正恩)単独偶像化」作業を急速に進めている。

北朝鮮は17日、国営メディアを通じて、韓国を「徹底した敵対国家」と規定する内容の改憲事実を明らかにした。キム・ジョンウン総書記が昨年末に提示した「敵対的二つの国家論」を実現するため、今月7日に最高人民会議(国会)を開き、憲法から「平和統一」「民族大団結」などの表現を削除したとみられる。

北朝鮮の社会主義憲法に明示された「統一」「民族」の概念は先代の遺訓でもある。

キム・イルソン氏が1960年、「連邦制統一案」を初めて提示して以来、北朝鮮の統一政策は大同小異に維持された。憲法の序文も「偉大な首領キム・イルソン同志と偉大な領導者キム・ジョンイル同志は、国の統一を民族思想の課業として掲げ、その実現のためにあらゆる苦労と心血を注いできた」という点を明らかにしてきた。

それゆえ、既存の統一論廃棄が北朝鮮住民に及ぼす影響は少なくないという観測もある。

韓国・統一研究院のキム・チョンシク院長は「(北朝鮮の統一、民族概念は)政権樹立以来70年間続いてきた北朝鮮の思想的ルーツであり、住民を動員し、結集できる原動力だった。これを捨てることは、住民が受け入れ難い」とみる。

◇早い時期

一見、果敢にも見える北朝鮮の政策変化は、「指導者」としてのキム・ジョンウン総書記の立場を強化するためのものとみられる。先代の陰から抜け出した最高指導者となるための北朝鮮のシステムの変化とも見ることができる。

北朝鮮は今年からキム・イルソン主席の誕生日(4月15日)の公式名称を、偶像化の意味が込められた「太陽節」から「4・15節」に変更したとみられる。加えてキム・ジョンイル総書記の誕生日(2月16日)を指す「光明星節」という用語も今年から北朝鮮メディアでほとんど使われなくなった。

さらに、党機関紙・労働新聞は今月13日から紙面で「主体年号」を表記を省略している。

主体年号は、キム・イルソン主席が生まれた1912年を「主体1年」とする年度表記法で、事実上、キム・イルソン主席の神格化のために制定されたものだ。北朝鮮は、主体年号の使用規定を作り、これを各種文書や出版物、切手などで公式に使ってきた。

注目すべき点は、キム・ジョンウン総書記の単独での偶像化作業が先代指導者よりはるかに早い年齢から進められているということだ。

今年6月の党中央委員会総会に参加した幹部全員が初めてキム・ジョンウン総書記の顔だけが焼き込まれた「肖像徽章」を付け、注目を集めた。肖像徽章は最高指導者の顔が刻まれたバッジで、キム・イルソン主席とキム・ジョンイル総書記は、それぞれ58歳と50歳ごろに単独での肖像徽章が製作されている。これに対し、キム・ジョンウン総書記は今年40歳で単独での肖像徽章が製作された。

◇二つの評価

最高指導者の「唯一の領導体系」を強化することに対し、両面での評価が可能だ。一つは「北朝鮮の体制が不安定で、システムを強化する必要がある」という分析。もう一つは「むしろ体制維持の自信が高まり、内部をさらに引き締める」という評価だ。この二つが同時に浮上しているのだ。

二つをみれば、やはり北朝鮮体制には依然、不安定性に重点が置かれる。慢性化する経済難や拡大する外部情報の流入に、北朝鮮の変化が追いついていないためだ。

特に、チャンマダン世代(1980年代以降の出生世代)間で韓流が拡散している状況に注目する必要がある。

北朝鮮はこの3~4年間、「外部思潮」を取り締まる法をいくつも制定した。これは韓国など外部文化の流入が北朝鮮の若い世代に、自由・人権の価値を悟らせ、おのずと体制に対する反感が高まったことが原因とみられる。

韓国・東国大学のキム・ヨンヒョン教授は「さまざまな体制不安要素の中で、キム・ジョンウン氏は独自の色と成果を強調している。統一など先代の基調を果敢に捨てながらも、本人の政権維持を優先視しているように見える。一方で、住民の間に見えない当惑感が存在する可能性がある」と説明した。

一部では現在、北朝鮮の行動が「過度な自信」から始まったという分析もある。韓国・統一研究院のキム・チョンシク院長は「自身の成果を過大評価したキム・ジョンウン氏の誤った判断だ。これまで先代が維持してきた北朝鮮の統一政策と民族概念はキム・ジョンウン氏にとっても政治的資産であるのに、これを無視して本人の偶像化にだけ精魂を入れることは長期的な失敗となる可能性が高い」と指摘する。

(c)news1

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