
北朝鮮で先月発生した5000トン級の新型駆逐艦の進水事故を受けて更迭され、国営メディアからも姿が削除されていたキム・ミョンシク前海軍司令官が、再び映像に登場したことが6月30日に確認された。
朝鮮中央テレビは29日、キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党総書記の記録映画「人民献身の旅程、新たな変化の2024年」を再放送した。
この映画は今年1月29日に初めて放映されたもので、昨年の映像にはキム・ミョンシク氏がキム総書記の現地指導に同行する様子が収録されていた。今回の再放送でもその場面は編集されることなく流された。
新型駆逐艦の進水事故は5月21日に発生。清津造船所で組み立てられた艦が進水時に横転したという。北朝鮮は6月12日に復旧を完了したと発表し、翌13日に進水式を実施。その報道映像では、今年3月の現地指導写真に写っていたキム・ミョンシク氏の姿が削除されていたことが確認され、関係者の責任追及が浮き彫りとなった。
北朝鮮専門メディア「NKニュース」は、特定幹部の映像削除が2013年のチャン・ソンテク(張成沢)氏処刑以来の異例措置であり、処罰や粛清の可能性を示唆するものと分析した。
実際、北朝鮮海軍の司令官はキム・ミョンシク氏からパク・グァンソプ氏へ交代しており、更迭は既成事実となっている。
一方、今回の再放送ではキム・ミョンシク氏の登場シーンが編集されていなかったため、「映像削除の手違い」か、あるいは「事故と無関係な映像は編集対象外」との見方も出ている。
北朝鮮当局は同事故の責任を問う形で、清津造船所のホン・ギルホ所長を召喚し、カン・ジョンチョル技師長、ハン・ギョンハク総組立職場長、キム・ヨンハク行政部長ら複数を拘束したと発表している。ただ、その後の処遇については明らかにしていない。
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