北朝鮮がパリ五輪開幕9日にして、初めて五輪テレビ中継に乗り出した。韓国統一省によると、朝鮮中央テレビは4日午後、「録画実況」の形で今回のパリ五輪卓球混合ダブルス(対日本戦)を約50分間、録画中継した。翌日には「女子シンクロナイズドダイビング10m高飛込」も35分間放送した。
北朝鮮はこれまで、朝鮮労働党機関紙・労働新聞などを通じて、五輪開幕のニュースとメダル獲得の情報を簡単に報道してきたが、中継映像を放映したのは今回が初めてのようだ。
テレビ中継した卓球とダイビングは、北朝鮮が今回の五輪で早々にメダルを取った種目だ。北朝鮮は先月30日、卓球混合ダブルスでリ・ジョンシク―キム・クムヨンが銀メダルを獲得し、同31日には女子シンクロナイズドダイビング10m高飛込でキム・ミレ―チョ・チンミが銀メダルを獲った。
特に、卓球混合ダブルスの場合、中国に敗れた決勝戦ではなく、日本戦を中継し、世界ランキング2位の日本を破ったことを見せつけようとしていたようだ。アナウンサーは「我が国のリ・ジョンシク、キム・クムヨン組は世界16位で、日本は2位」と紹介した。
自国選手の活躍を見せたいが、いざ試合中継には消極的な態度を見せたのは「中継権」がないためと推測される。過去には「朝鮮半島中継権」を持つ韓国の放送局が人道的次元で北朝鮮に中継権を支援してきた。しかし、今はこうした支援も受けにくくなったようだ。
このため、最近は他国で放送した映像を再使用する「海賊中継」をしている状況がしばしば捕捉されている。今回も北朝鮮の五輪ニュース報道映像を見ると、左上にあるスコアボードをモザイク処理し、代わりに下段の中央に朝鮮語で書かれた独自のスコアボードを追加している。映像を保有する国・放送局を特定できないようにしたようだ。
朝鮮中央テレビはまた4日、「国際体育ニュース」で今回の五輪競技の主要内容を10分余り要約して報道した。ハンドボール、テニス、女子サッカー、男子サッカーなどさまざまな種目の競技を見せつつも、韓国選手の姿は画面に映されていない。
北朝鮮は以前にも、国際試合での韓国選手の活躍ぶりは故意に報道しない傾向があった。特に今年は、北朝鮮が南北関係を「敵対する2カ国」としていることから、こうした雰囲気が中継にも反映されたものとみられる。
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